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  <title type="text">FuneralWreath</title>
  <subtitle type="html">ここは煤竹が管理するPandoraHeartsのBL2次創作ページです。
BL・R指定要素を含みますので苦手な方は御覧頂かないようお勧めいたします。</subtitle>
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  <updated>2011-06-12T22:21:37+09:00</updated>
  <author><name>susutake</name></author>
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    <published>2012-09-19T22:20:49+09:00</published> 
    <updated>2012-09-19T22:20:49+09:00</updated> 
    <category term="レイブレ" label="レイブレ" />
    <title>あいことば</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[＊レイム&times;ブレイク<br />
＊ブレイク昏睡<br />
<br />
「死ね」と言って相手が本当に死んでしまったらどうしようか。<br />
横になって沈黙を続けるままの人間に向かってそう投げつけたなら、自分に跳ね返ってきて胸に突き刺さるかも知れない。痛みで死んでしまうかも知れない。だからと言って「生きろ」というのも違う。死にたがっている相手ではないのだから。彼<br />
への言葉はいつも矛盾している。<br />
<br />
【あいことば】<br />
<br />
昔は今より本気の喧嘩が多かった。<br />
今が遠慮しているという訳ではない。遠慮はしないが、相手の本心が見えているから爆発に至らないというだけである。10年で随分大人になったと思う今日この頃だ。<br />
「早く起きろよザクス」<br />
馬鹿とは言うが死ねとは言わない。この男相手では冗談にならないからだ。<br />
苦しんでいる訳でも無く、汗もかかず呼吸も静かで一瞬死んでしまったのかと思うほどに沈黙する彼の傍らにいる。手を握ったり前髪に触れたりを繰り返し繰り返し。今ではすっかり生活の一部だ。<br />
　<br />
<br />
水を溜めた器に布を浸し、濡らした布をぐっと絞った。<br />
静かすぎる部屋の中ではささやかな音も随分大袈裟に聞こえてしまっていた。静かな空間は好きだが静かすぎるのは不安を煽り過ぎていけない。傍に付き添いたい筈のレインズワースのお嬢様も今はいない。気丈というよりは見ている方が辛いのだろう。閉じられた目を見るといつも不安に苛まれた。この目が開かなくなれば、消えるのは彼の視界にいる自分だけではない。<br />
<br />
もし彼が死んだら自分は大人しく埋葬される姿を見守れるだろうか。<br />
縁起でもない話だが避けられる話でもなく、遠い未来の話かと言えばそうでもないのは確かだった。口の中の渇きはいつでも潤せるが胸の内は同じようにはいかない。<br />
「帰りが遅過ぎると、またシャロン様に怒鳴られるぞ」<br />
<br />
自分を含め周囲の人間が落胆する視力の低下を本人は悲観していない。<br />
それを「罰だ」と言って安堵したように、喜んで現状を受け入れているのだ。かつての自傷行為もこれと同じ意味だったのだろう。だとすると、もし彼があの性格のままであったなら、それを止めるべきではなかったということになる。<br />
<br />
人は忘れたい時何も残さない。<br />
思い出す様な因子があってはいけないからだ。恋人との別れが辛ければ贈り物は捨てられるかも知れない。所謂トラウマの出来ごとは記憶に埋もれさせるかもしれない。<br />
しかし彼は傷を抉りむしろ深くした。<br />
その事実に満足していたからだ。彼はたまたま掘り当てた場所から水が出て溺れたのではなく、水を探して掘り進めていた。傷が治るのは周囲の自己満足の愛情表現と同じ意味だった。癒えてしまえばまた不安に苛まれてしまうのだ。だから自ら溺れた。<br />
<br />
「このまま逝くのが望みか？」<br />
果物ナイフを手に取り、鋭利な刃をじっと見つめる。<br />
ひょっとしたら自分は平和でないこの状態を喜んでいるのかも知れなかった。身体に「何か」を刻みつけたらそれは彼を理解することに繋がるだろうか。<br />
「&hellip;お前はどう思う？」<br />
冷たい感触が肌に触れる。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
微かな吐息に腕が止まり、紅い瞳と視線が合う。<br />
「&hellip;呼ばれた、気がしましたので」<br />
「お前、迷惑な性格の上にナルシストだったのか」<br />
薄く口元を緩ませた彼がシーツの上に片手を出す。ほっそりとした、しかし剣を握り皮の厚くなった手の平がゆっくりとナイフを持つ手に重なった。<br />
「お待たせしました」<br />
「待てる時間はとっくに&hellip;」<br />
重ねられた手が自分の手からナイフを奪って行った。<br />
「&hellip;さっさと死ね、この馬鹿」<br />
「えぇ、もう少し後でね」<br />
また矛盾した。<br />
そう考えた思考を、落ちたナイフの音があっさりと遮った。<br />
<br />
<br />
【あいことば】<br />
<br />
<br id="NINJASELECTIONID" style="clear: both;" />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>susutake</name>
        </author>
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    <id>susutake.take-uma.net://entry/58</id>
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    <published>2012-07-10T23:59:00+09:00</published> 
    <updated>2012-07-10T23:59:00+09:00</updated> 
    <category term="レイブレ" label="レイブレ" />
    <title>相合傘</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[＊レイム&times;ブレイク<br />
＊大学生パロディ・3年と4年くらい(雑)<br />
<br />
<br />
黒いシャツ。黒いズボン。黒いブーツ。<br />
今日は、雨。<br />
<br />
【相合傘】<br />
<br />
バタンとクローゼットを閉じ、手にした服をベッドへ放った。<br />
「&hellip;今日は雨か」<br />
ベッドで寝ていた恋人がもそもそと起き上がる。眠そうに目を擦りながら彼は眼鏡を掛けた。何も着ていない。<br />
「貴方は何色？」<br />
「じゃあ、白」<br />
「ん」<br />
並んだ2つ目のクローゼットを開けて白いシャツと紺のジーンズを渡した。始めはルームシェアだったこの部屋も、付き合い始めてからプライベート感は薄れていく一方だ。幼馴染は恋人になり、同棲と言われてしまえば否定できない。いそいそと着替え始める姿を見ながら自分も袖に手を通した。<br />
「腰は？」<br />
「多少痛みますが&hellip;」<br />
「今日は午後からだろう。まだ休めばいいじゃないか」<br />
ハイソックスを履いてズボンの裾をしまい、ロングブーツの紐を締めていた手が止まった。今はまだ午前8時。通学には電車で20分。腰に回された手がぐいぐいとベッドへ引き込もうとしていた。シャツが皺になりそうだ。<br />
「こら、離しなさい。紐が結べないでしょう」<br />
「&hellip;お前髪伸びたな」<br />
「ほんの少しです」<br />
「何でそんな急ぐんだ」<br />
「知っていましたかレイム。筋肉痛は動いて直すんですよ」<br />
「嘘じゃないけど嘘だろそれ」<br />
ぎゅうぎゅうと腰を締めていた力がついに身体をベッドへ引き倒した。ぼふっとクッションに沈んだ頭上に影が重なる。短いブラウンの髪が良く似合う白い顔が近づいて、キスをした。<br />
「おはよう」<br />
「はいはい、おはようございます」<br />
これがやりたかったのかと苦笑を零しながらその髪をわしゃわしゃと撫でまわした。<br />
暫し猫でも構っている気分に浸り、ぱっと手を離した。呆けた様子の男はさて置き、半袖の黒シャツを着直してブーツの紐を結ぶ。<br />
「随分踵が高いな。女物か？」<br />
「ヒールと言ってください&hellip;不本意ですが」<br />
「何でまた」<br />
「君がバカみたいにデカいからでしょう」<br />
女物でも履ける足が憎い。しかし似合ってしまうのだから大した文句も言えない。せめて店員に女性用ですよの一言でもかけてもらいたかった。<br />
「まぁ冗談ですけど」<br />
デスクに置いてあったカバンを取り、カツカツと軽い音を鳴らしながら、お先に、と部屋を出た。<br />
<br />
初夏のじめじめとした空気の中をゆったり歩く。<br />
部屋に置いて来た彼はどうしているだろうか。いつもより高い目線は、それでも彼に遠く及ばないがなかなか気分は良かった。昨日よりも住宅街の中にある垣の上の紫陽花が全体を見る事が出来る。すれ違う人の多くは、主に女性は足元を、男性は顔を見た後に足元を見て行った。<br />
<br />
「御機嫌ようブレイク」<br />
「これはこれは、ご機嫌麗しゅう。シャロン」<br />
駅前のバス停近くに少女がいた。白い傘をさし、長いブロンドを上品なハーフアップにした如何にもなご令嬢はプリーツの入ったブラウンのスカートをふわりと揺らしてにこりと微笑んだ。大学の後輩であり、彼女もまた幼馴染だ。<br />
「今日はまた随分と素敵な格好ね」<br />
「皮肉ですか？」<br />
「いいえ、本音ですわ。ドレスを着せたくなるくらい」<br />
「&hellip;勘弁してください」<br />
「これは冗談よ」<br />
「黒なら目立ちにくいと思ったんですけどね&hellip;」<br />
彼女は目を細めて笑った。<br />
「それよりもあなた傘は？」<br />
「&hellip;オヤ」<br />
小雨だからいいと思ったのだろうか。それとも何も考えずに出てきてしまったのだろうか。ただ呆けていたことは間違いない。折りたたみも持っていなかった。傘に入れという彼女の申し出を、もう濡れているからと断り、記憶に残るかも危うい言葉を交わしながら二人で電車に揺られた。<br />
「水も滴るいい男？」<br />
「湿った程度ですよ」<br />
髪を掻き上げる姿を見て彼女は嬉しそうに微笑んだ。<br />
<br />
空がそのまま地面に落ちるのではないかと思うほどに重たげな灰色をしている。<br />
大学のラウンジに着いた時、ポケットの中の携帯が震えた。<br />
『あ、今駅なんだがお前今どこにいる？』<br />
「シャロンとラウンジに居ますよ」<br />
『あと30分でそっちに行くから』<br />
「はいはい」<br />
彼との通話は基本的に要件のみだ。ものの数秒で終わった会話を見ていたシャロンが含み笑いで眺めていた。<br />
「いい感じね」<br />
「&hellip;まぁ」<br />
「羨ましいですわー」<br />
「君こそ恋人は？同級のオズ君とかいい雰囲気じゃないですか」<br />
一瞬固まって大きな目を更にぱっちり開けた彼女は、次の瞬間ぼっと真赤な顔になった。<br />
「い、いやですわ。オズ様とはそんな&hellip;」<br />
「そんな？」<br />
「それに、私は」<br />
「私は？」<br />
しどろもどろに視線を彷徨わせ、彼女は唐突に席を立った。<br />
「れ、レポートを提出してきます！」<br />
あっと言う間に小さくなってしまった後ろ姿を見送りくすっと笑った。同居人が来るまで一人で時間を潰す事になったが仕方が無い。<br />
<br />
(女性は可愛い、と思う)<br />
小さくて、柔らかくて、華やかで、とても癒される。男所帯ではこうはいかない。<br />
(&hellip;世間体、結婚、子ども、&hellip;あとは別に&hellip;)<br />
5本の指はそれ以上折れなかった。たった此れだけの壁が妙に重たい。<br />
「子どもなんて、別にいいんですけどネー」<br />
「なんだ、欲しいのか？」<br />
危うく椅子から落ちかけて振り返ると濡れた傘をくるくると巻きながら歩いてくるデカい男がいた。<br />
「&hellip;どこから聞いてたんです」<br />
「聞いてないが何やら指を折ってるのは見えたな」<br />
「&hellip;要らないデスよ」<br />
彼は椅子をひいて隣に座った。前の授業が終わったのか、人が流れる様に出て来た。ざわつき始めた広間は少し声が聞き取り辛くなる。騒がしいのは好きではないが今は素直に助かったと思った。<br />
「女性になりたいのか」<br />
「そんな事は言って無いでしょう&hellip;！」<br />
少し声が大きくなった。これでは肯定しているようなものだ。<br />
「悪い。短絡的過ぎたな」<br />
謝る必要のない彼が謝った。<br />
何も言えなくなり、じっと自分の拳を見つめながら強くなって来た雨音に耳を澄ませた。そしてそう言えば傘を持ってきていなかったなと他人事のように思った。<br />
「似合うから気にしなかったが、髪とか靴とか、そうかと思ったんだ」<br />
「&hellip;合ってはいませんけど、多分間違ってもいません」<br />
ぼそりと出た一言は明快ではないものの、今は本当に此れ以上は言えなかった。無意識ならば、説明のしようがない。雨はどんどん酷くなっていく。<br />
<br />
「帰るか」<br />
「&hellip;は？」<br />
席を立った彼が唐突にサボりを申し出た。<br />
「今まで殆んど欠席してないから平気だろ」<br />
そういう問題かというのは彼にとって問題ではないらしい。普通に駄目じゃないのかと思いつつ彼の珍しい行動に半ば引きずられながらキャンパスを後にした。<br />
<br />
「ほら」<br />
青色の傘を差した彼は入れと言う様に傘をこちらに傾けた。<br />
男二人でなど女性にネタにされそうだが、濡れるのも嫌なので甘んじて入れてもらった。憮然とした顔で隣に行くと彼は口元を緩ませた。<br />
「周りが気になるか？」<br />
「別に&hellip;関係ありませんよ」<br />
「そうだな」<br />
苦笑された。<br />
そう言わせるのが目的だったと気づいても今更だ。ざあざあと雨音以外は静かな帰路をゆっくり辿る。<br />
「そのヒールは何センチあるんだ？」<br />
「5cmくらいですかね」<br />
いつもより近い肩と目線。男としてのプライドはやや満足気な感じだが、思ったほど嬉しくはない。<br />
「今なら君を押し倒せる気がします」<br />
「&hellip;勘弁してくれ」<br />
「冗談ですよ」<br />
彼を愛していてもそういう愛したいではない。愛されたいとしても、女性になる必要はない。そう思うと、今まで何を後ろめたく思っていたのか分からなくなった。<br />
「これは何方かに差し上げましょうかね」<br />
「サイズの合う人いるか？」<br />
「その辺に居るでしょう。元々『女物』ですし」<br />
そんなに回数を履いていないから大丈夫だろう。自慢じゃないが、多分自分が履いた事を嫌がる女性は少ないと思われた。<br />
「レイム、君の散髪の腕は信用しても大丈夫ですか？」<br />
「まぁ&hellip;人並に、不器用ではないと思うぞ」<br />
「じゃあ帰ったら少し切ってください」<br />
夏も近い季節。<br />
明日はもう少し明るい服を着ようか、そう考えながら彼の腕に手をままわした。<br />
<br />
<br />
【相合傘】<br />
<br />
<br />
ふたりの帰路はひとつ。<br />
<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>susutake</name>
        </author>
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    <published>2012-05-10T13:05:20+09:00</published> 
    <updated>2012-05-10T13:05:20+09:00</updated> 
    <category term="レイブレ" label="レイブレ" />
    <title>*黒い糸</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[＊レイム&times;ブレイク<br />
＊R18(レイムさんが若干黒め)<br />
<br />
<br />
立場のある人間になっても、所詮下の使いである事には変わりはなく。あれやこれやと合理的に雑務をこなし、あっと言う間の一日は過ぎ、一ヶ月、半年、一年と過ぎて行く。惜しむぐらい貴重な時間である事を分かっていてもそれを止める事はできる筈もない。<br />
<br />
【黒い糸】<br id="NINJASELECTIONID" style="clear: both;" />
<br />
権力のある男は色を好む。<br />
持て余した自尊心を見せつけ散漫したいだけの事だ。その男に同行するならば自分の身にも降りかからない筈は無い。上司・役員の傍らで会食に参加し夜の街へ出るのは何時もの事。娼館のみすぼらしいが派手で露出の多いドレスを纏った女達が一行をロビーへと案内をした。薄明かりの灯った室内は湿っぽく、香水やら酒やら、ない交ぜになった得体の知れない匂いが充満していた。<br />
「今夜は、どうなさいますの？」<br />
細く長い指が上品にグラスに酒を注ぐ。<br />
男たちは当然何時もの通りとばかりそれぞれに女を指名し、奥の部屋へと消えていった。<br />
「そちらのお兄さんは？」<br />
「いや、私は」<br />
「あの方々が出てくるまでお暇でしょう。お寛ぎ下さいな」<br />
綺麗とは言い難い色の褪せた茶色の長い髪を無造作に留めた、30前後と思しき女性が膝に手を乗せた。切れ長だが、優しげに目じりの下がった瞳が目前に迫り微笑む。<br />
「&hellip;眼鏡。取った方がいい男よ」<br />
<br />
「貴方は&hellip;いい人でもいるのかしら？」<br />
「&hellip;かも知れません」<br />
「なぁに、それ」<br />
安っぽいベッドの安っぽいシーツの上で女はくすりと笑う。全裸の身体を隠そうともせず紐を咥え髪を結い直している。自分は眼鏡を掛け直し、シャツを羽織った。<br />
「きっと女性じゃないのね」<br />
「&hellip;どうしてそう思いますか？」<br />
「女は久しぶりって感じだったわ」<br />
「経験が無い訳じゃないのですが。プロは流石ですね」<br />
「ゲイではなさそうだけど、女なら誰でも勘付くでしょう」<br />
ころころと笑う彼女は年齢を感じさせず、普通に可愛らしい人だと思った。<br />
「襟のとこやったげる」<br />
「これは別料金ですか？」<br />
「お金は要らない。面白い話も聞けたし、可愛い子にはサービス」<br />
それは流石に。と思っていると下着を身に付けた彼女が目の前に立ち襟にスカーフを通した。内心落ち着かなかったがするすると滑る耳に心地よい音が、普通の恋愛をしたらこんな感じなのだろうかと思わせた。<br />
「これでよし。貴方の『いい人』によろしくね」<br />
「彼にそう伝えましょう」<br />
「あら認めるの？」<br />
「&hellip;隠す事でもないので」<br />
「ふふ、そうね。貴方、背も高くていい紳士だわ」<br />
伸ばされた手が耳のピアスに触れる。<br />
「ありがとう」<br />
「羨ましいこと」<br />
どちらが？という言葉は声にはならなかった。ひらひらと手を振る彼女に会釈をして部屋を出ようとしたが、ふと頭を過ぎることがあり振り返った。<br />
「あの、眼鏡は外した方がいいでしょうか」<br />
一瞬目を丸くした彼女は、笑顔でウィンクをしてみせた。<br />
<br />
香水臭いと言われたのはその翌日。<br />
風呂には勿論入った。それでも彼の鼻はごまかせないらしい。<br />
「また『接待』ですカ」<br />
「何だ。えらい不機嫌だな」<br />
つーんとした面持ちの彼は何も言わない。だが理由は明白だ。昨晩の事が気に入らないらしい。<br />
「お前も言ったろ。接待だ」<br />
「仕事だから気にしちゃいけないと言う事はありません」<br />
「女性は久しぶりだった」<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
グッと押し黙った。それでもこれは彼が一番知りたがっていた情報だ。<br />
「いい女性だった。でも直ぐにばれたよ」<br />
「何がです」<br />
「男を抱いてるだろって。あと眼鏡は無い方がいいとさ」<br />
「&hellip;眼鏡はステータスですよ。ある意味」<br />
「どんな意味だ」<br />
今までそんな言葉は聞いた事無かったが新鮮な反応ではあった。<br />
「お前に宜しくと言っていた」<br />
「何故私なんです」<br />
「私の『いいひと』だからだろ」<br />
<br />
皿に乗せられたチョコレートケーキを一口食べながら昨晩の事を回想する。<br />
小さくて軽い身体と乳房が、抱いているのは女性であると改めて認識させた。しかし質素なドレスの下は細い肢体で、彼のそれとよく似ていた。奥に入り込んで上る声も無意識に重ねていたのかもしれない。<br />
<br />
「何考えてるんですこのムッツリ」<br />
「痛いっ」<br />
ケーキの皿を持つ手をつねられて漸く今の景色が目に入った。<br />
「そんなに良かったなら今夜もまた行ったらどうです」<br />
「行く訳ないだろ」<br />
紅茶を啜りながらじとっとした目線を寄こす彼を見る。無意識なのか皿の上のタルトを面影が無いほど分解していた。<br />
「タルトに罪は無いぞ&hellip;何ならお前も行って来ればいい」<br />
「ちゃんと食べるんでお構いなく。そんなにお勧めですカ、へー」<br />
「違うって言ってるだろ」<br />
彼の目の前に並べられていたケーキを一つ取りあげた。<br />
「あ、人でなし！」<br />
「ケーキが悲惨な末路を辿ってはいかんと思ってな」<br />
味も大事だが見た目も楽しむものだ。<br />
「食べ物の恨みは安くありませんよ&hellip;」<br />
「ちゃんと支払う」<br />
「身体で？」<br />
「それが良ければ」<br />
古い友人との言葉遊びは、男女の駆け引きに似ているかも知れない。<br />
<br />
「&hellip;ふ、&hellip;くっ」<br />
四つん這いにうつ伏せた身体は細く女性的だ。<br />
しかし女性ほど肌は柔らかくなく、筋肉質で節々の凹凸が見てとれる。取り分け意識したのは、当然ながら何よりも胸が無い事、自分と同じ性器があること。<br />
「今日は、随分&hellip;まじまじと見てきますね&hellip;」<br />
「あぁ、お前は随分早いな」<br />
「うるさ&hellip;い」<br />
背後から握った性器は普段より早く濡れて掌を汚した。<br />
脱いだ洋服を握る彼の手が限界が近い事を伝えてくる。耳まで赤くした彼はひどく汗をかきながら苦しげに息をついた。女性ほど早く濡れる事の無いそこは慣らすのに時間が要る。滑る指先を彼の身体の中へと推し進め、少しずつ解していった。<br />
「&hellip;痛ッ、まだ&hellip;」<br />
「少し我慢してくれ」<br />
きつく締まるそこは初めこそ侵入を拒むようだったが、受け入れた後は離すまいとしているかのようにも思える程だった。額に流れ始めた汗が彼の背に落ちる。白い髪の貼り付いた項にキスをすると、彼が身体を反転させた。<br />
「ッ&hellip;眼鏡、当たるんですよ」<br />
動いた一瞬、中を強く抉ったであろう指に顔をしかめながらそう言われた。<br />
しなやかな腕が伸びて眼鏡を外す。<br />
「ふふ、良い男であることは、否定できませんね」<br />
「普段外せないのは申し訳ないな」<br />
「この顔は、私だけのものです」<br />
にやりと笑う顔が暗に他の誰も抱くなと訴える。無言を返事に変えて足を抱え上げた。<br />
「舌噛むなよ」<br />
「そんなウブじゃありま、せ&hellip;！」<br />
余裕を浮かべていた顔が痛みに歯を食いしばる。<br />
受ける側にとっては苦痛の一瞬だろうが、入れる側にとっては満たされる瞬間でもある。男としての征服欲が満たされる瞬間、背徳感も一蹴される。<br />
「ぁ&hellip;くっ&hellip;！」<br />
彼の細い身体を支える腕が筋を浮き上がらせた。<br />
息も切れ切れな唇に同じそれを重ねて気を紛らわさせると、彼の中が少し緩み呼吸が落ち着いた。<br />
「生きてるか？」<br />
「生きて、ますよ&hellip;」<br />
「全額支払うにはどれくらい必要だと思う？」<br />
「&hellip;そうですね、じゃあ」<br />
こちらの背中に腕を回し身を寄せた彼が囁く。<br />
「私が死ぬほど、悦がらせること」<br />
<br />
深夜何時ごろなのだろうか。<br />
時間の感覚も薄れる中、繋げた身体はもう長い事ベッドに悲鳴を上げさせている。<br />
「ぅあ、あ&hellip;、あぁ！」<br />
普通の恋愛とは何だろう。同性の恋愛が普通でないならば、自分の下で確かに感じながら喘ぐ友人と、身体を濡らす二人分の精液は何だろうか。女性と寝たら普通になるのだろうか。でも、昨晩の彼女とは恋愛ではないし、背徳的な行為ではない。社会の常識と自分の現実の間で黒い線が揺れている。<br />
「ザクス」<br />
「は、&hellip;あっ」<br />
キスをして、抱き合って、繋がって、今更恋愛などと意識したのが馬鹿だった。<br />
女性が子供を産めるから男女なのであって。その間を結ぶのが赤い糸などと言うのは、始まりが林檎だったと言われるその名残りなだけなのかも知れない。御託を並べず、それが運命だと思えばいっそ清々しいだろう。<br />
「こら、また、考え事&hellip;」<br />
「まぁ。よく今までお前に付き合ってこれたなと」<br />
「今更そんなことを」<br />
緩く笑った彼が私の前髪を掻きあげてくしゃくしゃと髪を弄る。<br />
「この先も、覚悟しておくことです」<br />
「分かってる」<br />
彼には自分の考えている事など見透かされているだろう。<br />
余計な詮索をしない事がその証拠だ。<br />
何度もイかせ、寸での所で止めたりとした、長い時間の刺激で敏感になった身体を奥まで攻めた。ガクガクと揺れながら時折震え、時折涙を流す姿は何時でも愛おしい。のぼせそうな熱さの中で限界がチラつき始める。彼の性器を掌に包み、上下させる速度を増した。目の前で彼の唇がきつく結ばれる。<br />
「い、&hellip;あぁっ！」<br />
一瞬息が詰まる。<br />
追い詰められ開放された瞬間二人の間に白い液体がぽたぽたと滴り落ちた。<br />
肩を大きく上下させながら自分に縋る様にしていた身体がベッドへ崩れる。その横にぼすりと倒れ目にかかった髪をよけてやった。<br />
「あー、疲れました&hellip;」<br />
「支払いは&hellip;完了できたか？」<br />
「&hellip;まぁ、ギリギリオッケーとしてあげましょう」<br />
「それは光栄なことだな」<br />
意地悪く口元を緩ませた彼はゆっくり目蓋を下ろした。<br />
<br />
眠りに入った身体にシーツを掛けてやり、眼鏡を探す。暗がりの中ベッドの隅に置かれていたそれを見つけ掛け直した。浴室の洗面台まで来てベタつく手を洗う。濡れた手をふきながら、ふと目の前の鏡に映った自分を見た。二人に言われた言葉を思い出し眼鏡を外してみる。少々端の上った、色素の薄い瞳がこちらを見ている。掛けている時より若干きつめの印象だ。<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
良い男かどうかは測りかねた。<br />
寝室に戻り脱ぎ捨てた制服を集める。自分たちの指には赤い糸など見えない。ただ黒い糸だけは、暗闇に紛れて存在しているのかも知れないと、そう思った。<br />
<br />
<br />
【黒い糸】<br />
<br />
<br />
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            <name>susutake</name>
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    <published>2012-05-04T02:40:49+09:00</published> 
    <updated>2012-05-04T02:40:49+09:00</updated> 
    <category term="NL" label="NL" />
    <title>赤い糸</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[＊ブレイクとシャロン<br />
<br />
<br />
結んで開いて解けて結んで。<br />
<br />
<br />
【赤い糸】<br />
<br />
<br />
彼にとって私は妹のような存在であり、私にとって彼は兄のような存在である。<br />
血も繋がっていない。ましてや幾つ年が離れているかなど計りたくもない事実がある。それでも私は彼が好き。恋している。愛している。<br />
<br />
「愛し合いたい」<br />
<br />
なんて我が侭は、口が裂けても言わないけれど。<br />
&nbsp;<br />
受粉し結ばれた花々が綺麗に咲く季節は、色の増える季節。お<br />
もちゃ箱のように色とりどりで可愛らしい景色。それは嬉しくもあり辛くもあり、といった心境にさせる。切ないほど綺麗な色は悲しいほどに彼の目には映らないのだ。振舞いたいように振舞える間柄であっても、流石に気持ちは浮かれない。<br />
<br />
「ザクス兄さん」<br />
<br />
声をかけると直ぐに此方へ向かってくる彼の足。<br />
こんなに近くにいて、こんなに手が届くのに何故境界線が出来てしまうのか不思議だった。直ぐ隣までやってきた彼は、少し身を屈めて話を聞いてくれる。また何か粗相をしていなかったか尋ねたり、今夜の夕食のメニューを離したり、庭に咲く花の名前を教えたりと他愛のない話ばかりした。<br />
言葉の裏に「愛しています」を隠しながら。<br />
&nbsp;<br />
ある日彼は意識を失くして死体のような姿で帰ってきた。<br />
呼吸は浅く、色も蒼白。もとより余命はわずかで、指先が震えた。彼と自分を結ぶ糸が切れてしまう。出会ってから少しずつ、少しずつ絡めてきた糸が外側から解れ始めているような気がした。<br />
<br />
「まだ、」<br />
<br />
まだ逝くには早すぎる。貴方がやっていない事も、自分がやり残している事も沢山ある。見た目の緊急さを余所に安定を始めた彼の隣で、一人ただ祈っていた。不安を煽る材料が揃い過ぎていたのだ。<br />
&nbsp;<br />
目を覚ました彼はすみません、と一言謝罪をした。<br />
何に謝っているのかとぶつけたが、正直自分も何に対して謝らせたいのか分からなかった。もどかしさが自分の中を渦巻いている。淡い色合いで湧きあがり始めたそれは次第に濃い色合いを持ち合わせ、不安で陰り出していた。表に出してはいけない。<br />
<br />
「まだ大丈夫」<br />
<br />
根拠も説得力もない言葉だけが支えている。<br />
散々色恋沙汰に夢を見て本も読んできたが、これほど報われないものがあるだろうか。10年も一つ屋根の下にいて、身を守ってもらい、理解し合う間でありながら、「兄妹の様な関係」で終わってしまうのだ。大人は大人であり続けても、少女は少女のままではいられない。<br />
「&hellip;糸が切れてしまいそう」<br />
眠る彼の小指にそっと自分の小指を絡め、その場を後にした。<br />
&nbsp;<br />
日の暮れ始めた庭の隅で雑草が花を咲かせていた。<br />
結ばれた種の結晶は綺麗だった。その花を一輪摘み取り、誰に言うでもなく囁いた。<br />
<br />
「愛していますわ。ザクス兄さん」<br />
<br />
摘み取った花は、花びらが少し欠けていた。<br />
&nbsp;<br />
<br />
【赤い糸】<br />
]]> 
    </content>
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        </author>
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    <published>2012-04-25T22:39:23+09:00</published> 
    <updated>2012-04-25T22:39:23+09:00</updated> 
    <category term="レイブレ" label="レイブレ" />
    <title>水葬</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[＊レイム&times;ブレイク<br />
＊レイブレWebアンソロジーに与稿したものです<br id="NINJASELECTIONID" style="clear: both;" />
<br />
<br />
浮遊感が身を包んでいる。<br />
仄青い水の世界をいつからか、気が遠くなる程前かつい今し方からなのか分からないが、兎も角沈んでいた。視界は定かではない。機能を失いつつあるこの眼が映し出せないだけかも知れなかったが、少なくとも自分の世界には何も無かった。口から零れる空気が泡となって目の前を遠ざかるが、聞こえるはずの音が聞こえない。もとより見えない事にプラスして感覚がないことが大層苦しかった。しかし不思議と肺から酸素が抜ける息苦しさは無かった。触れる物も無く所在無さ気に揺れている手で身体を抜けていく泡沫を掴む。痛みを伴わない、終わりの見えない苦しさ。何処まで行くのだろうと考えて、ひとつ思い当たる。<br />
「これが、死か」<br />
そうしてまた泡が一つ弾けて消えた。<br />
&nbsp;<br />
よく晴れた日の午後、郊外にある教会から一台の馬車が出た。<br />
艶のある黒い毛並みに黒いサスペンダーと手綱を付ける馬が、更に同色の装飾が施された荷台を重々しく引き闊歩していく。誰も口にせずとも解る。いわゆる霊柩車だ。<br />
&nbsp;<br />
馬車が教会を出る少し前、女公爵の屋敷では常ならぬ幾分重い空気が流れていた。つい先日のこと、公が懇意にしていた老貴族が一人亡くなった。女公爵より少し年が上の好々爺と言うに相応しい人物だったのだと、ブレイクは彼女の孫娘から聞いた。<br />
「小さい頃、よく遊んで下さったわ。私がチェインと契約してからは余り会うことはありませんでしたが」<br />
流石に今の少女に普段のはつらつとした元気は無いようだ。声に張りがない。俯いた姿には後悔が現れていた。契約で成長が止まってからはあまり面会には行けなかったのだろう。彼女を葬儀の為の着替えに見送ると自分も正装へ着替えるため、自室へ戻った。この国では葬儀の参列者はごく少数で行われる。服装とて全身黒ずくめにする必要はない。社交場へ着てゆく正装から装飾を外しボサボサとした髪に櫛を入れた。今回ばかりは何時も肩にいる人形を連れてはいけない。<br />
「では、行ってくるよエミリー」<br />
ぽすんとベッドの上に行儀よく座った人形へ、軽くウィンクし部屋を出た。<br />
&nbsp;<br />
「おや、来たようですネ」<br />
遠くでガラガラと車輪の回る音がした。緑が生い茂り、木漏れ日が一面の芝を照らし美しい。これだけの光があれば僅かでも目蓋の裏に届く。そんな光景の中現れた馬車は決して陰鬱な葬儀を思わせたりはしなかっただろう。直ぐ傍にいるシャロンは黒のシンプルなドレスを身につけレースのベールを被っている。その表情は定かではないが幾分緊張しているように思えた。墓石一つ一つに色鮮やかな花が添えられた静かな墓地。男の呟きに参列者がはたと顔を上げた。女公爵と故人の遺族ら10数名は既に土を掘った場所へ集まった。それを見てシャロンはさり気なくブレイクの腕へ手を添えて引く。ブレイクの驚いた顔に、彼女は少々気恥ずかしげに、だが表情は変えず背筋を伸ばして列まで移動した。男たちの手でゆっくりと降ろされた棺の前に司祭が立ち聖書の一説を読み上げ、賛美歌・献花と続く。参列した女性たちが、手にした色とりどりの花を棺の上へと投げ入れた。ふわりふわりと舞う花びらが、参列した人々の目に優しく映る。<br />
「おやすみなさいミスター。貴方は私の大切な友人であり、大切な家族でした」<br />
レインズワース公の小さな言葉を最後に、棺は丁寧に土をかけられる。<br />
そうして故人は長い眠りについた。<br />
&nbsp;<br />
「&hellip;He has moved on to a better place」<br />
「He was a very special person. We will all miss him」<br />
「I can&#39;t imagine what you are going through&hellip;」<br />
「If there&#39;s anything I can do to help, please let me know&hellip;」<br />
&nbsp;<br />
紳士淑女からお悔みの言葉がぽつりぽつりと交わる。お国柄と言うべきか、死者を悼むのは勿論だが彼らは残された者たちへの気遣いが優先される。この葬儀もまた、遺族への慰めだ。女公爵は使いの者に車椅子を押してもらい亡くなった氏の妻や娘らへ挨拶を交わしに動いた。彼女がちらと此方へ合図を送ったのを受け取り、使用人は少女を見る。<br />
「私たちは先に行きましょうか。お嬢様」<br />
「&hellip;えぇ」<br />
名残惜しげに墓標を見る少女を促し、迎えの馬車へ向った。しかしそこで思わぬ声を聞く。<br />
「ザクス」<br />
「レイムさん？貴方なんでここに」<br />
「バルマ公からのお達しだ。女公爵様へ馬車を出すようにと」<br />
場所が場所なだけに声色が固い。その命を聞いた時の彼は内心複雑というより呆れを覚えていたかもしれない。<br />
「相も変わらず一途なことで&hellip;貴方もお気の毒に」<br />
「でも助かりますわレイムさん」<br />
この馬車の前にいるもう一台が女公爵の為のものだろう。恐らく断られるのだろうが。レイムが馬車を降り少女の手を引こうと動いたがブレイクも使用人の身である。それを制止して小さな手を取った。<br />
&nbsp;<br />
「シャロン様は？」<br />
「部屋で着替えて、お茶をしているでしょう。今しばらくは一人にして差し上げた方がよろしいかと」<br />
「お前にしては、気が利くな」<br />
「うわー、失礼しちゃいますネ本当に」<br />
大真面目な顔で呟いた友人を嗜める。窮屈なスカーフを取りシャツの襟元を寛げながらその背の高い友人へ椅子を勧めた。ここは自分の部屋だ。同僚で長い友人である青年はブレイクとは向かいの席に座った。<br />
「身内のような付き合いがあれば流石に堪えるでしょう」<br />
「&hellip;そうだな」<br />
レイムは愛用の眼鏡を取り、ポケットから出した眼鏡拭きでキュッキュと磨きだした。これは昔から考え事をする時の彼の癖だ。いつもの通り浅いが眉間に皺を寄せているのだろう。そして今日はそれが何事かを探る。少女の傷心を憂いているのか、主人の事か。それとも別の何かがあるのかと。じっと友人の、比較的整った顔立ちを見ていると眼鏡を拭く手が止まった。視線に気づいただろうか。長い指で押さえられた「それ」はなかなか本来の仕事へ戻れない。その眼鏡をじっと見つめた後、静かに此方へ向き直り口を開いた。<br />
「&hellip;なぁザクス」<br />
「はい。何でしょう」<br />
「お前、目の調子はどうだ？」<br />
来たか。そう思ったのが5割。後は2割の呆れと3割の諦めだった。<br />
「以前とそう変わりません」<br />
反発したところで彼が口を出さなくなる訳はない。大事はないとそう伝えた。現に問題は無いのだ。感覚が優れている分視覚を失っても、ごく普通の、慣れた場所での生活にさほどの不自由はない。勿論戦闘においても。<br />
「そうか」<br />
そう言い眼鏡を掛けなおした彼の表情はやはり余り良くはならなかった。レイムは立ち上がりブレイクの眼の前に立つ。何ですかと目を合わせると瞼と頬に大きな手が優しく触れた。驚きはしたが医者のような手つきに力を抜く。冷えた指先がゆるく目蓋を押し上げた。<br />
「お前ちゃんと寝てるのか？少し充血してる」<br />
「ねてますよ」<br />
とは言え見えない事で無意識に目に力を入れてしまっているということはあるだろう。レイムは本人の答えも受け止めながら、此方は主に瞳から光が薄れていることに僅かならぬショックを受けていた。やがてブレイクは労わる様な、少し温まってきた心地よい指の感触に目を閉じる。と、額に軽い口付けを受けた。それは愛情というものではなくごく自然な、傷を洗い清めるようなものだった。そうして直ぐにレイムは呆けているブレイクから離れ、静かに席に戻った。しかし席に着くなり彼はまたしても眼鏡を拭きだす。照れ隠しなのだろうか。<br />
「スマン」<br />
「何がです？」<br />
「&hellip;&hellip;だから」<br />
「いやぁ、どうせなら美しい女性にやって頂きたかったですネ」<br />
「&hellip;ふん、だったらシャロン様に頼んだらどうだ」<br />
「そんなもん、先にハリセンが飛んできます」<br />
後の記憶にも残らないような、他愛ない談笑は夜が更けるまでゆっくりと続いた。<br />
&nbsp;<br />
体が浮遊している。<br />
また「あの夢か」と、そう思った。しかし同じではなく今度は暗くて、青さがない。最初から暗いことは、徐々に光を失われるよりも存外恐怖は感じなかった。しかし、不安だ。そう思うと脳裏にぼんやりと友人らしき人の姿が浮かんだ。目の前に浮かんだ青年は淡い茶の髪の下にある、髪と同色の瞳を細めていた。伸ばされる手へ、反射的に手を伸ばしていた。今は伸ばされる自分の白い手が何故だかはっきりと見える。見える事への違和感で僅かに震える指が青年の手にゆっくりと近づいた。<br />
(もうすぐ―)<br />
もう直ぐ、手が触れる。<br />
そう確信した、その瞬間。白い指先が土気色に変わり、泥人形のようにボロボロと崩れた。<br />
「ッ！」<br />
思わず引いた手を胸に抱える。途端に急速な落下。前の夢よりずっと早い速度で。淡い期待と喜びは砕け、離れていく友人の影は哀しげに揺れていた。<br />
&nbsp;<br />
目が開いた。<br />
目の前には白い天井。脇には衣装棚らしき物。恐らく、自分の部屋だ。<br />
余りにも静かな部屋に不釣合いな喘ぎ声が聞こえる。苦しげで、切羽詰ったような、もがくような声だった。それが自分の口から漏れている事に気づくには少し時間が要った。上下する胸を抑え額や首にまとわりつく汗が不快でベッドから降りた。湿ったシャツを脱ぎ、痩せた腹を手当たり次第に引き寄せたタオルで拭う。<br />
<br />
「寝ても覚めても、&hellip;難儀なものだな」<br />
<br />
結局あの夢は何なのだったのか。<br />
崩れる手はもう何も手にしてはいけないという事なのだろうか。<br />
それが、あの友人だとでも言うのだろうか。<br />
&nbsp;<br />
ふとぼんやりとした視界で、テーブルにティーカップが二つあることに気がついた。<br />
「そういえば、居たんでしたっけ」<br />
昨晩、葬儀を終えた後に友人と茶をした記憶が蘇る。この場にいた彼は想像や夢の住人ではない。ティーカップの縁を指でなぞると、下に挟まれた布に当たり手に取った。これは自分のものではない。<br />
「ふむ。&hellip;今日も来るということでしょうか」<br />
今日も来る。しかし昨晩、彼を見送った覚えが無い。帰る時は必ず見送っているのだ。何があったか聞きたいが、これがある以上また来るのだろう。その辺は長い付き合いでの感だ。出向く可能性がある方へわざわざ出掛けずともいいだろう。目が覚めたのも遅めだっただろう。身支度を整え終えぬ内に彼はやってきた。少々の息切れを伴って。<br />
「体調は？」<br />
「ハイ？」<br />
開口一番がそれでは自分以外の者だって困るに違いない。しかし当人の冷静だが真剣な表情に揶揄など出来るはずもない。久方ぶりに困惑していると青年の手ががっちりと顔を捉えあの晩と同じように目を覗き込んだ。顔色を窺い手首を掴かんで体温まで測っている。<br />
「貴方何を」<br />
「覚えてないのか？&hellip;いや、覚えていなくても構わん」<br />
「ちょっと、何なんですか」<br />
「咳き込んで倒れた。それだけだ」<br />
少々棘がある。これはやってしまったかと反省し、素直に礼を言った。「その時」傍にいたのが少女ではなくこの友人だったことは運が良かったかもしれない。しかし彼とて目の事がわかった時何度も確かめられたくらいだ。相当動揺しただろう。<br />
「シャロン様には伝えてある。後で顔を見せておけよ」<br />
「了解しました」<br />
話もそこそこに制服へ着替えようとクロゼットを開けると後ろから何かが頭に降りかかってきた。<br />
「今日はそっちだ」<br />
手に取った柔い布はいわゆる寝巻きだ。じきに仕事へ向わなければならないのに何故かといぶかしむ。それを察した彼はため息をつき、大事をとって休めと言った。咳き込むくらいでそこまでしていいのだろうか。<br />
「私、どんな様子でした？」<br />
「どうって」<br />
「&hellip;血を吐いたりとか」<br />
「&hellip;&hellip;いや、それは無かった」<br />
レイムは目を逸らした。此方に気を遣っているのか、それとも自分の為なのか。<br />
「そうですか」<br />
&nbsp;<br />
「貴方は本当に嘘をつくのが下手ですね」<br />
&nbsp;<br />
びくりと彼の緊張が揺れる。咄嗟の動揺を隠せていない辺り、彼はまだまだ青い。にやりと笑った私の前で、彼は今日2度目のため息をついた。彼はシャロンにどこまで伝えたのだろうか。<br />
「&hellip;適わんな」<br />
「100年早いですヨ」<br />
「笑うな」<br />
「笑いますよ」<br />
もう可愛くって仕方がない。恨めしげに此方を見る彼が愛おしい。自分を省みずに他人を気遣う彼が愛おしい。彼はきっとこの世の最大の未練になるだろう。手を離すなんて、そんな事を考えられる筈がない。<br />
「何度も言いますが元より私は相当なお爺さんですヨ、そんなに毎度動揺しないで下さい」<br />
「見た目が若いんだから仕方なかろう&hellip;と言うか年は関係ない」<br />
嘘をつくのが下手な上に相当なお人よしでもある。この先の長い彼の人生の方が心配になる。<br />
「&hellip;保護者みたいに見るなよ」<br />
「あれ、バレマシタカ」<br />
「私がお前の保護者みたいなものだろう」<br />
「ちょ、&hellip;」<br />
「いいからシャロン様に顔を見せて来い」<br />
レイムにとってブレイクのような友人は他に類を見ない珍しさだった。年上のくせに妙に子どもっぽく、子どもっぽいくせに自分に厳しく他人を気遣う大人だった。それは此方の意図を読み取った上での行動が多い。だから自分を対等に扱って欲しいと願ってしまう。年上だから、この先が短いと知っているからと勝手に突き放さないで欲しいのだ。<br />
「気をつけろよ」<br />
「&hellip;流石に屋敷内は問題ないですよ」<br />
拗ねた様な顔で部屋を出る彼をしっしと見送り制服をクロゼットに戻す。ティーカップをも片付けてしまおう。昨日の内に洗ってしまえばよかったと思いながら昨日の葬儀を思い出した。<br />
&nbsp;<br />
黒い正装に身を包んだ彼が埋葬される棺を見ている。その顔は穏やかで、故人を悼むというよりはその目にいつか来る自分の姿を映しているように見えた。そんな友人の姿をなんとも思わない筈が無い。彼はまだ自分の為に自分の時間を使うべきだ。もっと他の世界を知るべきだ。しかし、彼の目は<br />
「&hellip;。見えないんだったな」<br />
またしてもため息が出た。いつか彼が言った、自分と同じ世界を見るなら眼鏡を外してみろと。感覚としては近いかもしれないがこちらは見える手段がある。それでも近づけるのか。そもそも彼が眼鏡を掛けた事などないだろうに。<br />
眼鏡を外した。<br />
部屋を見渡してもよく解らない。気持ちは同じに出来なくとも、彼の世界はこんな感じなのだろうか？ベッドらしきものが目に入るが確証が持てない。やはり不安が拭えることはないらしい。<br />
「&hellip;いっ！」<br />
ゴッという鈍い音を立て、机に足をぶつけた。痛みに思わずうずくまる。そういえば彼のそんな姿は見たことが無い。身体能力の差だろうが、何か悔しい。涙目で彷徨う私を見たら彼は笑うかもしれない。<br />
はっきりと色に差のある物以外は相当曖昧だ。前方に手を伸ばしかつて自分が彼にしたように、触れた物の形状をなぞっていった。大きくて白いこれは布団か枕か。ボスボスと触って枕と確認する。眼鏡を机に置いてきていたので動くのが億劫になってしまった。柔らかいベッドであることを確かめて座る。ぼうっと見上げる姿はまさしく数日前の「彼」だった。朝日を受けた白が光を拡散させて少々目にしみる。<br />
ぼやけた世界に彼の姿が重なる。髪が長い。出会ったばかりの、ケビン・レグナードの姿だ。あれから随分長い時間が経ってしまった。まだ幼い自分をよく邪険にしていたことさえ今は笑って話せる話の一つだ。<br />
「&hellip;遅いな」<br />
主の帰らぬ部屋で天井を見上げるうち眠気が襲ってきた。「彼女」にブレイクが血を吐いた事は伝えていない。事実を伝えるべきだろうが今日ばかりは日が良くなかったので伝えなかった。自分もかなり動揺していたのだ。もう居なくなってしまうのかと、不安に苛まれた。いつか自分も彼女に叱られるのだろう。そう思うと、何だか自然と顔がにやけた。大事にしたいと思うと結局ブレイクの行動をそのままなぞってしまっている。<br />
&nbsp;<br />
「なーに人のベッドで寝てんですか」<br />
首を起こすと戸口に人影が見えた。姿は見えないが声を聞けば間違いない。<br />
「あぁ&hellip;悪い、眼鏡を取ってくれるか」<br />
「眼鏡？」<br />
「お前に頼むのも悪いが、テーブルの上にある」<br />
ブレイクがテーブルへ手を滑らすと無造作に置かれた眼鏡があった。やれやれと苦笑してレイムの元へ歩み寄る。<br />
「ほら、目を閉じて」<br />
「自分でやる」<br />
「いいから」<br />
「お前も見えないだろうが」<br />
手を出してくるのを無視し、大人しく目を閉じたところでゆっくりと確かめながら耳へ眼鏡を通した。<br />
「&hellip;&hellip;どうでした？」<br />
試したのでしょう。<br />
「ん。まぁ、良くはない」<br />
「ぶっ、当たり前でしょう」<br />
哀しい事は誰しもにあるが喜ばしいことなどある筈がない。あるとしても、それは私にだけだ。<br />
「そうだな」<br />
目の前にはいつもの風景が見えていた。笑う友人の顔を見てどちらも口元が緩んでいた。<br />
「何処かにぶつかったりは？」<br />
「机に足をぶつけたな」<br />
「私はそうなりませんねぇ。褒めていいんですヨ」<br />
「いいからお前は寝ろ」<br />
レイムは立ち上がって目の前の友人をベッドへ押しやった。優しくしてとふざける彼へ少々乱雑にシーツを被せる。さっさと寝て、さっさと全快しろと。<br />
&nbsp;<br />
「寝たくないのですが」<br />
「子どもみたいなこと言うな。目を閉じてればいつかは寝る」<br />
「&hellip;夢を見るんですよ」<br />
「&hellip;どんな？」<br />
「ひたすらに沈んでいく夢ですよ。あんなモン見たら死期が近いとしか」<br />
「誰だって夢は見る。何時かは死ぬ。でも、お前も私も今ではない」<br />
「私の可能性は高いじゃないですか」<br />
「では沈む夢ではなく降りてくる夢だと思っておけ」<br />
「降りる？」<br />
「空から地上に。だったらそれはこの先をまだ生きる意味になる」<br />
「&hellip;なるほど」<br />
根拠の無い、稚拙な屁理屈だ。それはブレイクとて承知である。彼もまた確実にあれが水の中であったことを言えずにいる。水底の土では、腐敗していく他にない。<br />
&nbsp;<br />
「では、君に良い解釈を聞いたので寝るとしましょうか」<br />
「ザクス」<br />
「はい」<br />
「明日は仕事だ、遅刻するなよ。必ず時間に起きろ」<br />
「んー、ちょっと無理かもしれないんでレイムさん起こしてくださいヨ」<br />
目が合った。言葉遊びには裏がある。長い付き合いだ、赤い目が訴えるものに気づかないはずはない。<br />
「起こし方に文句は言わせんぞ」<br />
「え、ちょっとそれどういう意味で」<br />
「起きなかったら覚悟しておけ、という意味だ」<br />
「&hellip;ハイハイ、了解でーす」<br />
「嬉しそうにするなバカ者」<br />
ブレイクを背にして部屋を出る。先日死者を弔ったばかりのレインズワース家は穏やかに静かだった。目の前に広げた己の手の平が筋までよく見える。館内もよく見える。ガラス越しだが確かに見えている。<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
廊下のガラスの向こうは曇りだし、しとしとと雨が降り出していた。<br />
唯一の赤い光を失ったら彼は何もかも白くなる。目を閉じてしまえば、髪も肌も衣服でさえ真っ白だ。溶けて消えるような軟な男ではない。しかし分かっていても理性ではどうにも出来ない問題だった。この場を離れたくはないが、自分は帰らねば。今この場に留まってもどこまで手を伸ばして良いのか分からない。ならば、帰るべき場所に行かねばならない。まだここに彼が居る限りいつでも手を差し出せるのだ。もう自分は彼に会ったばかりのような、非力な子どもではないのだから。<br />
&nbsp;<br />
目を閉じた世界で、降り出した雨の音を聞いていた。<br />
まだ睡眠に入った訳ではない。目を開ければ天井が見えた。規則正しいリズムで土へ落ちる音と、外壁に溜まり不規則にぱたたっと落ちていく水滴の音がしている。彼らはこれからどうなるのだろう。落ちた場所で果たす役割も違うだろう。<br />
<br />
ならば自分は。<br />
<br />
自分が偶然この時代に落ちてきた事は幸運だっただろう。人としてはそれなりに長い間、幸福な生活をしてきた。主人である少女や、あの友人には恩がある。彼らはそんなもの要らないと言うだろうが。<br />
&nbsp;<br />
どこまでそれを考えていいのだろうか？<br />
どこまで考えたら怒られてしまうのだろうか？<br />
&nbsp;<br />
元気でいてくれたらいいなんて言われても、もはや自分に叶えられる事ではない。のんびりしていたら沢山のやり残しが出来てしまう。それだけは嫌だった。<br />
「あーぁ&hellip;ッ」<br />
前触れのない胸の息苦しさに一人咽る。頭が痛い。風邪でもひいたか。そう思ってすぐ、残念ながら違うと教えられる。口の中に鉄の味が広がっていた。<br />
(いやだなぁ、全く)<br />
はーっと息を吐いてレイムの出て行った扉を見た。もう外にはいないだろうか。自然と降りてくる目蓋をそのままに、世界を黒へ変えてゆく。葬儀で散った花のように鮮やかな世界はもう戻らない。あの夢で崩れた手を、君は拾い集めるのだろうか。望んではいけない事を秘めながら、意識は水音ともに遠のき、水の底へと沈んでゆく。<br />
&nbsp;<br />
「おやすみ、レイム」<br />
&nbsp;<br />
もう少しだけ、自分の力で君の隣を歩きたかった。<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
「水葬」了<br />
]]> 
    </content>
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    <published>2012-04-01T03:33:19+09:00</published> 
    <updated>2012-04-01T03:33:19+09:00</updated> 
    <category term="レイブレ" label="レイブレ" />
    <title>ゼロの嘘</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[＊レイム&times;ブレイク<br id="NINJASELECTIONID" style="clear: both;" />
＊4月1日に便乗したようなしてないような<br />
<br />
<br />
最期の時までに、あの人の泣き顔を。<br />
<br />
&nbsp;<br />
【ゼロの嘘】<br />
<br />
&nbsp;<br />
人は一生のうち、何度泣いているのだろうか。<br />
私も彼も、お互い長い付き合いの中でそんな姿は見たことが無い。喜びや痛み、快楽的なものを含めるならば話は別だが、それ以外ならば恐らくゼロだ。<br />
&nbsp;<br />
桜の咲き始めた、雨の降る日。<br />
ざぁざぁと静かに降り続けるのを横目に見ながら本部内を資料を抱えつつ闊歩する。目の回る忙しさに泣きたいなぁ等と思いながら向った先は視力が幾ばくかになった同僚の居る資料閲覧室だった。<br />
<br />
「あぁ、やっと着いた&hellip;」<br />
「お疲れ様デス」<br />
<br />
隅の席にもたれ掛かっている彼を見てやれやれと資料を机に降ろした。痛む腰を抑えて背筋を伸ばせば「おっさん臭い」と言われる。<br />
「お前も身体が軋むほどの事務仕事をしてみろ」<br />
「私実戦向きなので」<br />
「そもそも事務仕事に期待はしてないとしても」<br />
「&hellip;しないんですか」<br />
「しないさ」<br />
「はぁ」<br />
項垂れた彼は机に突っ伏して目線だけをこちらに寄こした。見えているのかおぼろげなのか分からない。<br />
「見えてますよ、何となく」<br />
「そうか」<br />
「はっきり見えたらと思うと泣きそうですが」<br />
彼が泣く。<br />
「泣いたらいいじゃないか」<br />
彼と向かいの席に座り、読んで聞かせる仕事内容の書かれた紙を手に取った。起き上がった彼は白髪をがりがりと手でかいて笑った。呆れてもふざけてもいない、少し困ったような、心底ため息をついた時に出るような静かな笑みだった。<br />
「泣いて、どうします」<br />
「どうもしない」<br />
「じゃあ意味がないでしょう」<br />
「状況は変わらないだろうな。でも、お前が変わる」<br />
「貴方は？」<br />
「&hellip;変わる、かも？」<br />
「一心同体？」<br />
「そう言っていいなら」<br />
「ダメな筈がないでしょう」<br />
ふふっと笑い立ち上がった彼に頭をぐしゃぐしゃとかき回された。<br />
やめろと言いながらその手を取って顔を寄せる。物音のしない部屋の中で鼻先が触れ、彼の睫が震えているのが見えた。目は閉じられていない。<br />
「していいか？」<br />
「駄目です」<br />
「いつもしてるのに？」<br />
「ダメです」<br />
「わかった」<br />
「すみません」<br />
こつんと軽く額を当てて薄い肩を抱いた。<br />
途端、泣いてしまいそうな幸福感に満たされる。知り合ってから10年。その間でお互いのことをよく知り、よく理解した。だからこそ踏み込めない事もある。踏み込んで欲しいけど踏み込んで欲しくない。そんな矛盾を理解してしまうのは、素晴らしいことで、寂しいことだった。<br />
&nbsp;<br />
「花の香りがしますね」<br />
「桜だな」<br />
「美しいですか？」<br />
「あぁ」<br />
「今日は雨ですね」<br />
「あぁ」<br />
「散ってしまいそうですか？」<br />
「少しな」<br />
「よかった」<br />
<br />
全部じゃなくて、と彼は言った。<br />
身体を離して椅子に座り、持っていた資料に目を通した。向かいに彼も座ったのを確認して内容を読み上げる。これからの雑務やら責任のある任務やら。これまで彼が一人でしていたことを自分がする。相槌を打ちながら真面目に聞いていた彼がふと、目を閉じた。眠くなってしまったのかと思ったがそれは違った。向かい合った彼は赤い目の周りをうっすらと赤く腫らしていた。普段の何倍も頼り気のない、強くて弱い彼に、口の中が乾いてゆく気がした。<br />
<br />
〔彼はなぜ泣かない、泣けない〕<br />
<br />
しばし黙り、書類を置いた。胸に圧し掛かる静けさに、少しだけ零す。<br />
&nbsp;<br />
「なぁザクス」<br />
「はい」<br />
「一緒に逝こうか」<br />
<br />
<br />
たった一滴だけ、彼の頬を伝うものが見えたような気がした。<br />
<br />
&nbsp;<br />
【ゼロの嘘】<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
嘘だけど、本当の言葉を&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
]]> 
    </content>
    <author>
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        </author>
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    <published>2012-02-04T05:39:58+09:00</published> 
    <updated>2012-02-04T05:39:58+09:00</updated> 
    <category term="レイブレ" label="レイブレ" />
    <title>生け花</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[＊レイブレ<br />
＊B side　暗め注意<br />
<br />
<br />
【生け花】<br />
<br />
&nbsp;<br />
花を摘む。食事をする。足を一歩、踏み出す。<br />
人が何かの命を奪うのは日常的な動作の一つ。<br />
可憐な少女が花を摘むのも、断頭台で生きた人間に刃を降ろすのも同じ事。食事をするのも、家畜を育てるのも同じこと。<br />
「悪いことじゃない」<br />
生きるためには必要なことだし、それらを愛しているが故のことである。更に言えば摂取しなければ愛でる事も虐げることも出来ない。<br />
「死を与えるとはつまり、生を受け取ることです」<br />
綺麗に長さを揃えられた百合を抱き、ブレイクはうっとりと目を閉じた。<br />
&nbsp;<br />
手の平についた血も、口の周りについて乾いた血も、もはやそれが赤いと確認することは出来ない。手に残る肉を切った感触には慣れたものだ。違和感も罪悪感も感じない。「あれら」は決してあの花のように美しくはなかったが、今手にしているものはもしかしたら綺麗なのかも知れない。<br />
「今戻りましたよ」<br />
軽やかな足音と衣擦れの音が同時に近づき、目の前に来た瞬間急停止する。一瞬怯んだかのような躊躇いは自分の外見が余程酷いことになっている証拠だ。日常とはいえ女性にはあまりに殺伐として心穏やかではない。<br />
「おかえりなさい。&hellip;貴方の血では、ないですね？」<br />
「えぇ、恐らくは」<br />
しかし女性の精神とは恐れ入るほどに強い。<br />
ニコリと微笑み、あまり人目に付かぬ内に部屋へ引いた。でもそれは言い訳で、部屋に居る「彼」に早く会いたかった。<br />
&nbsp;<br />
カツカツカツカツ。早く早く早く。<br />
「ただいま戻りましたよ」<br />
ガチャン。とやや大きめの音を立てて扉の内側へ入る。<br />
「気分はどうです？そう、それはいい」<br />
色の変わってしまった上着を脱いで浴室に投げ込んだ。<br />
襟から抜いたネクタイを無造作に放り、手の平のパリパリに乾いてしまった血を洗面台で洗い流して、踊るようなステップで部屋を歩きまわる。<br />
「今日の仕事は滞りなく。褒めて下さっていいですよ」<br />
軽口を叩きながらの挨拶も程ほどに、花瓶の百合が若干枯れかけていることに気づき部屋を出た。通りがかったメイドに花はあるかと尋ねる。<br />
「あの、&hellip;また百合でしょうか？」<br />
「出来たら。そうですね」<br />
少々表情を曇らせながら承知した彼女から百合の束を受け取った。<br />
「綺麗ですね。彼も喜ぶ」<br />
<br />
腕の中で香る花に顔を埋めながら軽快な足取りで部屋に戻った。<br />
花瓶の花を抜き、新しい花を入れる。枯れた花は捨て、まだ綺麗なものだけアルコールに漬けた。後で香水にする。<br />
「きっとお嬢様に合うでしょう。それとも君がつけますか？」<br />
小瓶の香りを嗅ぎながらベッドへ歩み寄る。<br />
ベッドには男が一人眠っている。短い栗色の髪とピアスが「彼」である証拠。あの上背の高さは横になった今では感じることが出来ない。穏やかに眠るようなその顔はやや青白かった。<br />
「綺麗でしょう。ずっと同じ花という訳にはいきませんけど」<br />
返事もなにもない。一方的に話しているだけなのに、ブレイクの中では会話が成り立っているようだ。その顔は横になる男よりもいっそう白かった。<br />
「少し痩せましたか？貴方の手はもう少し大きかった」<br />
自分のものより大きい、いかにも男性らしい手を取り頬を寄せる。温もりはない。代わりに自分の頬に温かいものが流れて落ちた。<br />
「&hellip;おや。おかしいですね、君がいるのに、おかしなことだ」<br />
テーブルに幾つも並んだ香水の瓶から一つを手に取り、こちらも細い指先でくるくると瓶の蓋を開けた。それを傾け手の甲に一滴落とす。途端、ふわりと甘い香りが広がった。<br />
「うん、良い香りですよ」<br />
瓶を置き、目を閉じたままの男の頬にそっと唇を寄せた。<br />
<br />
「君が好きで、目の前にいて、それがどうして寂しいのでしょうね」<br />
&nbsp;<br />
花を摘むように、食事をするように、足を一歩踏み出しては命を奪う。<br />
そうして彼は、再び百合を抱いて眠りに落ちる。<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
【生け花】end<br />
<br />
<br />
※もしもレイムさんが目覚めなかったら、の妄想。<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>susutake</name>
        </author>
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    <id>susutake.take-uma.net://entry/52</id>
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    <published>2012-01-06T22:51:17+09:00</published> 
    <updated>2012-01-06T22:51:17+09:00</updated> 
    <category term="その他CP" label="その他CP" />
    <title>隙間</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[オズ&times;ブレイク<br />
<br />
<br />
【隙間】<br />
<br />
<br />
淡い茜色に染まり始めたのはパンドラ本部。<br />
慌しい日中とは違い、緩やかに落ち着いたこの時間は心地よい。今この敷地内において最も重要な人物とされる少年は庭へと飛び出した。<br />
<br />
「んー、疲れたー」<br />
両腕を大きく伸ばしながら一日を振り返ってやれやれと息をつく。<br />
「もうお疲れですか？少々早いのではありませんか」<br />
「へ、」<br />
男の声に緩々と力の抜け始めていた筋肉がぎゅっと締まる。背後から何かが風切る音を聞き思わず飛びのいた。ひゅっという音が耳に聞こえたかと思うと次の瞬間にはザクっと重いものが綺麗に刈られた芝に突き刺さっている。<br />
「げ&hellip;ちょ、やだな殺す気？ブレイク」<br />
「勿論、実戦を想定してるので。無様にでも避けれた事は褒めて差し上げましょう」<br />
双眸を閉じたままゆったりとした足取りでやってきたブレイクは口元だけでにこりと笑った。こうしていれば随分と品の良い青年だが、その実かなりえげつない性格の男である。オズとて他人のことは言えないが。<br />
「&hellip;手解きを、お願いします」<br />
「よろしい」<br />
芝に立った剣を抜きすぐさま切り替え構えたオズに彼は満足げに笑い、自分の仕込み刃を抜いた。<br />
「私は怪我などしませんので、何処からでもどうぞ」<br />
「何処からでもって言われてもなぁ」<br />
隙などある筈もない。兎に角出来る限りの力と集中をかき集め、思い切り剣を振り上げた。<br />
<br />
周りの静けさに反抗するように剣のぶつかり合う甲高い音が響き、時に重たいものが落ちたような鈍い音が聞こえていた。激しい動作の連続で荒くなる息がまた行動を制限する。<br />
「だっ&hellip;！ちょ、死ぬって！！」<br />
「殺しはしませんから安心なさい」<br />
ぶんと振られたブレイクの腕が風を切ってオズの剣を弾いた。キンと高い音を立てて空中へ舞い上がったそれは、縦に回転しながら同時に倒れたオズの顔の真横へ突き刺さる。<br />
「&hellip;いっ！」<br />
「チェック、ですね」<br />
右に自身の剣、左にブレイクの剣が顔の真横に突き刺さり青ざめる。苦笑いをしながら、降参の意を込めて両手を上げた。<br />
「も、&hellip;無理&hellip;っ」<br />
「若いくせに情けないな」<br />
身体に跨り見下ろしているブレイクは目を閉じているのに愉快気だ。白い髪で影になった顔が普段より凄みを感じさせる。この雰囲気はいつか聞いた過去の彼に近い。闘いが純粋に楽しいのだろう。<br />
「楽しそうだね&hellip;」<br />
「そりゃそうです。血が沸き立つ」<br />
「明解だね」<br />
「迷えば死にますから」<br />
ふっと笑ったブレイクがオズの上から立ち上がろうと身体を反らす。離れてしまう、そう思った時オズの手は自然と彼の袖に伸ばされた。<br />
「&hellip;何です」<br />
「あ、いや&hellip;うーん、何だろう」<br />
「君が疑問では困りますよ」<br />
「はは、ごめん」<br />
相変わらず仰向けに倒れたままで、跨るブレイクを自分の行動に困りながら見上げた。しかし困惑の中で視界に入る白い手は明瞭だ。袖を引いた手はそのまま肌に触れた。<br />
「ブレイクの刻印、見せてくれない？」<br />
「なぜ」<br />
「全く同じ？」<br />
「&hellip;恐らくは」<br />
刻印という言葉に空気がぴりっと張ったのが分かった。ただ苛立った訳ではないようだ。自分と同じものを持っているのに何故かという所だろうか。オズとしては同じだからこそなのだが。<br />
「同族は今までに何度も見たでしょうに」<br />
「皆すぐ死んじゃったよ」<br />
はたと彼は動きを止めた。<br />
「子供のようですネ」<br />
「子供だもん」<br />
にこりと笑うとため息をついたブレイクが身体をずらし、オズの横に片膝を立てて座った。<br />
そうして襟元のボタンに手を掛ける。彼が退いたのでオズも起き上がるが、目の前で外されていくそれに心なしか落ち着かない。女性の裸を見るわけでもないのに視線を泳がせた。<br />
「どうぞ。満足ですか？」<br />
シャツの前を肌蹴たそこには全く焼けていない白い肌があった。<br />
そこに良く映える刺青のよな刻印も。<br />
「&hellip;同じだね。ありがとう」<br />
「先行者がいてよかった？」<br />
いつになく、嘘ではない優しい口調だ。<br />
「うーん、ホントなら死んじゃってるんでしょ？生きてるのは嬉しいけど」<br />
「そうだな」<br />
今日の彼は時々話し方がブレイクではなくなる。ケビンと呼ばれた時代の彼なのだろうか。知らない人間と話しているような不思議な感覚に包まれる。<br />
「まぁ私は本来の年齢が死んでても可笑しくない位ですけど」<br />
「おじさんだもんね」<br />
「ガキの言葉はほどほどに。オズ君」<br />
苦笑しながら彼の手はボタンを閉じようと動いた。それを追ったオズの手は、今度は袖ではなくその刻印が残る肌へと伸ばされた。<br />
<br />
暮れ始めた日の中で乾いた音が弾ける。<br />
じわりと痛みの広がる手をオズ自身が見つめた。<br />
「嫌だった？」<br />
「&hellip;すみません、君に限った事ではないので気にしないで下さい」<br />
思わず、という感じだった。<br />
バツの悪そうな彼に対し、オズ自身は彼の目が見えていないのに流石だ等と悠長に考えていた。<br />
「俺、ブレイク好きだよ」<br />
「&hellip;&hellip;、ガキなんざお断りですよ」<br />
「それでも」<br />
<br />
頬に手を触れ、首を傾げてキスをする。<br />
本物の剣が直ぐ側にある。殺されるかも知れないなと思いながらゆっくり目を開いた。それこそ横っ面を叩かれてもおかしくなかったが、予想に反し何も無かった。目の前にいたのは困惑したように俯き指を震わす彼だった。<br />
「ガキが、何をしてんです&hellip;」<br />
「好きな人へのスキンシップ？」<br />
「全く、彼といい君といい」<br />
「彼って？」<br />
「君もよく知る人ですよ」<br />
光の灯らない瞳で泣きそうに笑う彼は自分の知らない彼で、その彼によく合う顔だった。<br />
「ブレイクの弱いところ色々見たいなぁ」<br />
「お断りです」<br />
目の毒だからとボタンを閉じるのを手伝う。シャツの隙間から覗く時計の形をした刻印をちらりと見ながらズボンの土を払い立ち上がった。<br />
「また相手してくれる？」<br />
「&hellip;好きな時に呼びなさい」<br />
「ありがと」<br />
<br />
決して同じ傷ではないのに、彼と自分は少なからず似ている。<br />
地面に突き刺さった剣を抜き自分を探しているであろう従者の元へ向かった。<br />
<br />
<br />
<br />
【隙間】end<br />
<br />
<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>susutake</name>
        </author>
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    <id>susutake.take-uma.net://entry/51</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://susutake.take-uma.net/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AC/%E9%A3%BE%E3%82%8A%E7%89%A9%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%82%A2" />
    <published>2011-12-08T15:52:51+09:00</published> 
    <updated>2011-12-08T15:52:51+09:00</updated> 
    <category term="ルーブレ" label="ルーブレ" />
    <title>飾り物のカナリア</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[＊レイム&times;ブレイク前提ルーファス&times;ブレイク<br />
＊ルーファス&times;レイム表現有り<br />
<br />
<br />
友人の為と偽り自分の為に主人に抱かれる。<br />
それは己を抱く主人の為にあらず、友人へ恩を売る自身への株作り。<br />
<br />
【飾り物のカナリア】<br />
<br />
古い書物の匂い漂う屋敷の一室で、ふうっと息を吹きかけ燭台の火を消す。<br />
襟を寛げ、さしたる色気もない鎖骨を晒し主人の前に身を伸した。<br />
「正気か？」<br />
「えぇ、どうぞ」<br />
レイムが長年使えてきた主人は苦笑しながらベッドへ上がった。首筋を伝う舌、胸を這う手、男に愛撫をされるのは初めてだがやはり気持ちが悪い。好意があれば別だろうが主人には敬意しか持っていない。だからこれは、単なる性欲処理と思う他ない。<br />
「汝を鳴かせる時がくるとは思いもせなんだな」<br />
「貴方がザークシーズに興味を持っているのは存じておりますが」<br />
生ぬるい感触に顔を背けて眉を顰めた。<br />
「彼を抱かれるのは少々困るので。友人として」<br />
「ほう、友人として」<br />
分かりやすく取って付けた様な言葉だ。<br />
また小さく笑う主人を前に、どんどん肌が晒されていった。内職ばかりで焼けていない白い肌。ここら辺は友人と似ているかもしれない。<br />
「それも素か。気味が悪いほどに邪念がないな汝は」<br />
「長い使用人生活で初めて褒めて頂いた気がしますね」<br />
赤毛の主人は声を上げて笑った。<br />
<br />
しかし飾りの関係は所詮飾り。<br />
本命を無傷でいさせる事はやはり叶わない。<br />
「彼を呼ぶのですか」<br />
「そう今言ったじゃろう」<br />
「&hellip;承知しました」<br />
「奴に話がある」<br />
話とは言葉の話なのだろうか。<br />
そうでは無いと何かが警鐘を鳴らしているような気がした。呼ばない方がいい。しかし、呼ばねばならない。自分はただの使用人であって、彼とはただの友人であるだけだから。<br />
<br />
「それで、観劇ですカ」<br />
「すまんな。ルーファス様が話があると言うんだ」<br />
襟元をきっちりと締めた黒の外套を纏い迎えに行くと、白い友人は明らかに面倒そうな顔をして出てきた。<br />
「君も苦労人なことで」<br />
「&hellip;全くだ」<br />
恐らく彼の考えも及ばぬ部分に至るまで。<br />
ザクスの目はもう大分見えなくなっているようだが彼は難なく馬車に乗り込んだ。後から続いて自分も乗る。狭い部屋のような空間の中で私たちは向き合って座った。<br />
「ねぇレイムさん、飴とか持ってます？」<br />
「&hellip;これでいいか？」<br />
「&hellip;何で持ってるんです」<br />
「お前がそういう事言うからだろう」<br />
彼は手渡した飴玉を不信な顔で受け取り、満足げな顔でそれをほおばった。子連れの親の気分だ。<br />
「&hellip;バルマ公の話とは何でしょうねぇ」<br />
「さぁ、あの方の考える事は未だに分からん」<br />
「左様で」<br />
「事の良し悪しくらいだな」<br />
「おや。&hellip;では今回は？」<br />
「悪い方だ。きっと」<br />
「&hellip;エー」<br />
良いことなど今まで一度も無かったのだから彼も承知の上だ。しかし彼の悪い事と今回自分の測り知る悪いことは、恐らく内容が大きく違うだろう。上辺と本音を乗せた馬車は間もなくオペラ劇場へ到着した。<br />
<br />
「ザクス、こっちだ」<br />
正面の一般席ではなく3階層のバルコニーへ案内する。<br />
柔らかなクッションの座席に主の姿はなく、一人の夫人を乗せた車椅子の側に影がひとつあった。<br />
「&hellip;今度こそ女公爵様に殺されますヨ」<br />
「なんじゃ、来て早々ご挨拶じゃな帽子屋」<br />
影が振り向くと車椅子の婦人は姿を消した。呆れた目で見るザークシーズに含みを持った笑みでバルマ公は応じる。我が主人ながら腹の読めない少々不気味な人間だ。<br />
「レイム、ご苦労じゃったな」<br />
「いえ」<br />
一礼して踵を返す。役目は此処まで。後は普段の職務に戻るだけだ。<br />
「レイムさん」<br />
「なんだ？」<br />
「また後で」<br />
「&hellip;あぁ」<br />
退室間際に声を掛けてきた彼もまた意味深な視線で私を見る。<br />
彼はこの後のことを悟っているのか。そう考えられるという事は、そうなのだろう。自分に認識させるために、彼はわざと悟られるように振舞っている。バルコニーから少し離れた扉の外で、私は暫し聞き耳を立てた。近づきすぎると悟られるので若干の距離を取ったが、やはり言葉が聞き取れない。ニュアンス的には過去の話か、またはアヴィスに関わる話なのだろう。感情の起伏があるでもなく、淡々とした言葉の音が聞こえる。思ったような方向へは進まなかったのか。先日の夜の事もあって立ち呆ける内に鈍痛を感じ始めた。もう立ち去ろうか、そう考え始めた時聞こえていた「音」が大きくブレた。<br />
<br />
カタンと椅子が揺れる音。<br />
そして何やら軽く揉めるような声が聞こえる。思わず彼等の元へ足が進みかけたが、理性で踏ん張った。ここで出て行かないのは主人との暗黙の了解だ。所詮公爵という身分に自分が立てつくことは不可能である。廊下の壁に背を預け、背後から響き伝わる情景をただただ身に受けた。<br />
<br />
「此処に居たんですか」<br />
「&hellip;あぁ」<br />
出てきた友人に顔を背け応える。普段と変わらない様子だが、到着した時と襟の形が違う。<br />
「貴方の言ったとおり、悪いほうでしたネ」<br />
「解ってて止めなかった事を怒るか？」<br />
「いいえ。私も予想はしてたので」<br />
「では、わざと行った？」<br />
「そう。そうすれば、君が慰めてくれるでしょう？」<br />
「&hellip;淫乱」<br />
「ですかね」<br />
真っ白な細い指で自分の唇をなぞり、事も無げに言い放った彼は高揚している。男の癖に男を誘う術をいったい何処で身に付けてしまったのか。細められた切れ長の瞳が誘うようにこちらを見た。<br />
「お前が強請るのなら、喜んで慰めてやろう。仕方なく」<br />
「そう、仕方の無いことです」<br />
含み笑う男を連れて、劇場を後にした。<br />
<br />
要求通り彼を「慰め」、屋敷へ送り届け戻ると敬愛する主人が相変わらず書物を漁っていた。<br />
「ご苦労じゃったの」<br />
「いえ、いつもの事ですので」<br />
「お主も趣味が悪くなったのう」<br />
楽しそうに笑うその人にやはり気付かれていたかと思う。しかし全くもって自分の周りは似たような人間ばかりである。<br />
「汝も抱いたか？」<br />
「&hellip;えぇ」<br />
「傑作じゃな」<br />
扇を片手に大笑いする主人はやはり高貴で傲慢だ。何がそれ程楽しいのだろう。<br />
「他の男に盗られて黙っていられるとは流石じゃの」<br />
「貴方は主人ですので」<br />
外套を脱ぎながらあくまで慇懃に答えた。ルーファスはにやりと笑い、引き出した書物を手に長いすに腰掛けた。<br />
「&hellip;その傷はどうなさいました」<br />
手の甲に引っ掻き傷のようなものがある。指摘に眉を潜めた彼はその傷を見て「ああ」と漏らした。<br />
「可愛くない奴じゃ。思い切り爪を立ておった」<br />
「抵抗されましたか」<br />
「汝はそんなことなかろう」<br />
「えぇ、まぁ」<br />
「汝も可愛くないな」<br />
文句を言いつつ彼は楽しそうだった。<br />
ついと伸びた手が私の頬を捉える。幾分も下にある目線まで引かれ、キスをされた。真意は分からない。所詮彼以外の存在は駒でしかないのだ。良いように遊んで面白がっているだけだろう。<br />
「いい面になった」<br />
「ありがとうございます」<br />
どんな面なのだろう。ふっと鼻で笑われ、退室の許可を得ると自分の部屋へ向かった。何ということは無い、仕事が待っているだけだ。<br />
<br />
手の甲で唇を拭う。<br />
あの人がいくら引っ掻き回したところで、彼自身は何も手に入れられていない。<br />
上辺だけだ。核心はいつも他にある。彼の手ではなく、駒自身の手に。<br />
「&hellip;さて」<br />
コーヒーを淹れデスクに戻る。<br />
居ない間に増えた羊皮紙を前に、思わずため息を漏らした。<br />
<br />
踊らされる事に何の抵抗も感じない。<br />
飾り物は何時でも簡単に鳴けるのだ。<br />
<br />
<br />
end<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>susutake</name>
        </author>
  </entry>
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    <id>susutake.take-uma.net://entry/50</id>
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    <published>2011-11-28T00:05:49+09:00</published> 
    <updated>2011-11-28T00:05:49+09:00</updated> 
    <category term="レイブレ" label="レイブレ" />
    <title>箱の中の小さな死　Epilogue</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[私の最も幸福な死に方はね。<br />
誰にも看取られず、ただ大切な一人を想って死ぬことなんですよ。<br />
&nbsp;<br />
6「Epilogue　」<br />
&nbsp;<br />
再会の翌日。<br />
レイムが目を覚ますと皺の目立つ真白いシーツが目に入った。<br />
ここは何処か、何故ここにいるのか、昨晩何があったのかをゆっくりと思い出し居るべき人物を探した。窓の外は細かい雪が舞っている。<br />
「&hellip;ザクス？」<br />
万全ではない体で何処へ行ってしまったのか。<br />
一見して姿の見えない部屋を出て、通りがかった看護婦に尋ねる。すると彼女は顔を青くして他のスタッフのもとへと姿を消してしまった。自分が思うより彼の状態は良くないのだろうか。途端に焦りだす鼓動を抑えて、院内を巡った。中庭を探し、食堂・休憩所・受付などを探して辿り着いたのは屋上だった。<br />
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「&hellip;っ寒いな」<br />
屋上は洗濯物用の物干し竿が幾つも並んでいた。<br />
まだ早朝なので何も干されていない。頬に打ちつける冷たい風は微かな痛みさえ伴った。手すりの向こうには自分たちの住む街が見える。ここにも居ないか、そう思って引き返そうとした時、一角のベンチに座る人物を見つけた。風に揺れる長めの白髪は間違いなく「彼」だ。やれやれと腕を組みながら声をかける。<br />
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「おい、朝っぱらから何をしてるんだ」<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
<br />
寝ているのだろうか。しかしこんな寒い所で？<br />
吐き出す息は白く、何時までも居るのは辛いので返事をしない彼の前へと回った。見るとそれはやはり彼で穏やかに目を閉じていた。<br />
「ザクス。早く戻らないとスタッフの人たちが慌てて、」<br />
ふと感じた違和感。それは彼の体が微動だにしないことよりも、その口から自分のような白い息が出ていないことだった。<br />
「&hellip;おい！」<br />
血の気が引いていく。咄嗟に動いた手が彼の頬に触れ、腕を掴み体温を探す。元々色の白かった肌はより白く、人の温もりは無きに等しい。反動でぐらりと傾いた体はゆっくりとベンチに横たわった。<br />
<br />
途端、糸が切れたように脳内が冷静さを取り戻す。<br />
頬に触れた手はそのまま首筋へ流れ、脈が無いことを確認した。<br />
穏やかに綺麗で、眠っているようなその顔を前に、レイムはただ呆然と俯いた。<br />
<br />
「逝ったのか&hellip;？ザクス」<br />
<br />
声が震え、頬を涙が伝っていく。寒いせいだけではないだろう。酷く熱い。<br />
今、彼に手向けるべきは怒った顔ではない。ゆっくりと微笑んで震える指先で彼の前髪をかきあげた。それから冷たくなり、硬直の始まりかけた身体を抱きしめる。僅かに残る肌の柔らかさに触れると、出会ってから昨晩までの彼との記憶が洪水のように押し寄せた。肉体は確かにここに在るのに彼の意思や感情は既に無く、途方もない喪失感にただただその身体を抱く腕に力を込めた。目の奥がチリチリと焼け付くようで、喉が痛んだ。<br />
<br />
「ありがとう&hellip;」<br />
<br />
精一杯の言葉を搾り出し、目の前にある、冷え切ってなお薄く色を宿した唇に自らのそれを深く重ねた。<br />
&nbsp;<br />
ザクスが死んだ。<br />
あの後、レイムは彼を抱き上げ医師の元へと歩いた。感情を失くしたかのような表情で現れたレイムを前に、赤毛の医師は驚き、黙って目を閉じた。それから先はいまいち記憶が薄い。一日は安置室で彼と一緒に過ごしたと思う。その後は、やはり思い出せない。<br />
<br />
レイムの足は彼の荷物が置かれたままの病室へ向った。人気が無く冷え切った白い部屋には花瓶がひとつ。色鮮やかな花が置かれていた。窓の外は白く、時間の感覚が曖昧だ。ベッドは綺麗なシーツに変えられており、荷物も丁寧にまとめられていた。<br />
「これは、」<br />
ベッドのサイドテーブルには一つの携帯。開いてみると充電が切れてしまっている。自分の携帯を取り出すと、時間は午後の3時を示し、１件の新着メールを知らせていた。<br />
「ザクス&hellip;&hellip;？」<br />
思わず携帯を落としそうになりながらメールを開く。<br />
相変わらず単調で、しかし今までになく長い文章がレイムを迎えた。<br />
&nbsp;<br />
文章は謝罪から始まった。<br />
自らの口から言えぬことを許して欲しいと、これが最後になることを許して欲しいとあった。<br />
受信時間は早朝4時。<br />
<br />
『今、私は誰も居ない屋上にいます。視界が悪いと移動に苦労します。そして身体が凍りそうなほど寒い。しかし、この景色を今自分だけが見ているというのは最高に気分がいい。それに私は今、君との再会の後でが高揚しているから余計かもしれませんね。』<br />
<br />
一人部屋を出たその時の話なのだろう。<br />
隣で彼が話しているかのような錯覚を覚える。<br />
<br />
『私は君とキャンパスで過ごすのを楽しみにしていました。勿論、卒業したあとの生活も。しかしどういう訳かそれは叶わないらしい。君からの告白は驚いたが、素直に嬉しく、自分自身も自覚することになった。同性なのに、分からないもんです』<br />
<br />
外の雪は量を増して降り始めていた。<br />
<br />
『貴方に触れた瞬間から、私はその指先から壊死していた』<br />
<br />
突然の思わずぞくりとする文章。意地の悪い口元で、柔く微笑む彼の顔が浮かぶ。<br />
その続きは大層タチが悪く、熱烈な告白へと続いた。<br />
<br />
『さようならレイム。私は君を、愛していました』<br />
<br />
最後まで読み終え、何も無い白い天井を仰ぎ見た。<br />
小さな白い箱の中で、一人の人間が死を迎える。それはごく日常的で、たまたま身近な人間だったというだけの話だ。<br />
<br />
「過去にはならない。愛していくさ。この病をこれからも、ずっと」<br />
<br />
形見となった荷物をまとめ、レイムは空っぽになった箱の中を後にした。<br />
<br />
<br />
『貴方に触れた瞬間から私はその指先から壊死していた』<br />
『貴方はこれから、私という病に犯され生きていくのです』<br />
<br />
<br />
&nbsp;箱の中の小さな死－了－<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
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