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- 2026/01/22(木) 04:10:43|
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*レイム×ケビン
白い肌に白い髪
彼は酷く空虚な男だと、そう思っていた
だから、彼の『赤』は
その生命を主張しているように見えた
【赤い傷】
深夜。レインズワース家の一室に響く怒号。
「っおい、やめろ!」
『彼』の包帯を替えに来たレイムは男の目から流れる赤を目の当たりにした。
それが血である事を認識するより早く、左目の空洞を抉るように爪を立てるその手を引き剥がす。
「!離せ…っ」
「もうやめろっ―こんな事をして何になる!」
もがく男の手がぴたりと止まる。
レイムは左目に巻かれた包帯に赤い染みが広がっていくのを見た。
その内に沈黙した男の口元が引き上がる。
そしてそれは自嘲するかのような笑い声を零した。
「何になる?そうだな…何にもならない、意味の無い事だ」
「おい―!」
彼は血の染みた包帯をむしり取った。
レイムの目の前に赤い空洞が広がり、思わす息をのむ。
「あぁ・・・どんなに足掻いた所でこの目も、過去も戻らない…だが―」
―それでも、己を憎まずにいられるだろうか?
男は今にも泣きそうに見えた。
だがその眼から零れるのは「赤」ばかりで、透明なものがその白い頬を伝う事は無い。
壁をつたってずるりと床に崩れた彼はただ床を見つめている。
そこにぽたりぽたりと、絨毯に落ちては消える水滴。
「包帯、替えるぞ」
「……」
抵抗しない彼を見て、レイムは当初の目的を思い出した。
「どこか…其処に座ってくれるか?」
取り敢えず座って貰いたいと、その後横になれる様にベッドの方を指差す。
黙って立ちあがった彼の脇を支え座らせた。
唯一スプリングの軋む音が、部屋の静寂を強調する様だった。
「痛かったら言ってくれ」
彼の前に立ち、目の位置にガーゼを当てて包帯を解く。
何を想っているのか彼は依然黙ったままで。
包帯の擦れる音しか鼓膜には届いてこない。
長い髪を引っ張らないように、ゆっくりと丁寧に巻いていく。
近くで見ると絹を想わせる髪だ。何故だか無意識に手が緊張を覚える。
「…どうかしたのか」
「…いや、別に」
心臓が跳ねた気がした。
「何でもない」
腕が立つだけあるのか、気配に敏い。
気付かれないようにと懸命に自身の心に働きかけた。
それでもやはり隠しきれなかったのか、
触れた男の髪が小刻みに揺れ始めた。
(わ、笑っているのか?)
表情を見ようと腰をかがめ掛けた所で、逆に下から此方を見上げられた。
「っ!」
「・・・変なヤツだな」
体温が急上昇を始め、何時もの冷静さを欠く。
「き、君の方こそ、失礼な奴だなっ」
彼が吹き出した。口元を押さえて、苦笑をかみ殺すように身を震わせている。
その光景に唖然とし、思わず巻きかけの包帯が手から零れ落ちた。
「「あ」」
ころころと広がってしまう包帯を拾おうとし、屈んだところで
同じく拾おうとした彼と頭がぶつかった。
ごち、と鈍い音がして衝撃にくらくらする頭をさすりながら相手に謝罪する。
仮にも怪我人だ。
「ぅ、す、すまない」
「いや…大丈夫だ」
先程よりも纏う空気が柔らかい。
「あ、」
衝撃のせいか、目のガーゼの下から赤い雫が一滴な流れている。
もう一度ガーゼを取り換え布で頬を汚す赤を拭おうと手を伸ばす。
彼の目前にレイムの手が近づく瞬間
「――ッ」
「え、」
一瞬彼が身を硬くした。だが次の瞬間には、複雑なな面持ちで下を見ている。
「すまない、触れるのは嫌か?」
「いや違う…、少し…驚いただけだ」
「…本人にやらせるのは気が引けるが、もし嫌だったら」
部屋を出ようかと逡巡するレイムの袖を彼は引き留めた。
「いい、…お前なら。頼む」
今、この瞬間の高鳴りも彼に聞こえてはいないだろうか
そんなそんな事を考えてしまう。
彼は酷く空虚だった
だが、恐らく今は違う
今、彼は確かに「此処」に存在している
【赤い傷】end
*レイブレ
*レイム目線で。
『彼』が血を吐いた。
『彼』の胸には刻印があった。
『彼』は後どれくらい、私の傍に居る?
【ひとり】
「オヤ、レイムさんじゃありませんカ」
廊下の向いからへらへらと笑う男が私に声をかけてきた。
毎度のことながら、もう少し締まりのある顔は出来んのかアイツは。
「ザ-クシーズ…お前自分の仕事は終わったんだろうな」
「…またまたレイムさんったら~お固いんですから」
「終わってないんだな?」
「そうは言ってませんヨ」
「…来い。見てやる」
「ちょ、ワタシこれから用が」
「嘘つけ」
逃げようとするブレイクの腕をつかみ、取り敢えず彼の部屋へ引きずっていった。
案の定、彼の机には白紙の書類が山積みだった。
「…おい」
「嫌だなレイムさん、ちゃんと後でやるつもりでしたヨ?」
「手伝ってやるから。さっさと片付けるぞ」
書類を半分に分け、机にブレイクと向かい合って座った。
ため息をつきながらも二人で書類にペンを走らせる。
黙々と作業する中、ちらりとザクスの顔を盗み見た。
体調は良さそうだ。
色が白いのは元々だから、今の肌の色は比較的安定していると言ってもいい。
「どうかしました?」
「いや、…今は大丈夫なんだな」
書類に目を戻し、さり気無く言ってみた。
彼は一瞬首を傾げたがすぐに「あぁ」と苦笑を浮かべた。
「あの時はすみませんでした」
「そう思うなら、あまり心配をかけるな」
「そうですネ~」
くすくすと笑う声。顔を上げれば赤に視線を囚われた。
脳裏に浮かぶあの時彼が吐いた血の赤。
消えればいいと思った。
あの赤は彼から命を奪うから。
でも、この赤は駄目だ。この赤は彼の命を灯しているから。
「…ザクス……?」
「私の時間はもうあまりありませんが、貴方の気を揉ませるのはワタシも心が痛みマス」
「そんな事は」
「ご心配なく。そう簡単にくたばってやるつもりは在りません」
何処からか出てきた飴の包みを開く彼は、どこか憂いを帯びた
目をしていた。つい話題を逸らそうと口が開いてしまった。
「…お前、ホントに友人を増やせ」
言ってから自分が墓穴を掘った事に気付いた。
「それこそ無意味ですよ。余計に気に病む人が増えるだけです」
「だがな、」
「それにワタシはレイムさんが居れば十分なんデスよ」
「……」
―お前には、もっと沢山の仲間がいて
―もっと沢山の仲間で支えていくのがいいと思ったんだ。
だが、私でいいと言うお前の言葉に満たされてしまった。
心の隅でお前の友人が増えない事を願った私は、
果たして神に許してもらえるだろうか。
【ひとり】end