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- 2026/01/22(木) 05:31:33|
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*ブレイク目線。
「よく見ている」モノって、案外「見えていない」ものなのですよ
【Impulse】
私は「目覚めた」はずだった。
だが、色が、光が、認識されない。
「―何を寝ぼけている?」
嗚呼、やはりワタシは、「目覚めて」いるのですね―
シーツに包まりながら複数の退室する足音を聞く。
その中で一人だけ、部屋に留まった者がいた。
「おや、…君にバレるとは思いませんでしたヨ」
「・・・・・・」
「ねぇ、―レイムさん」
近づく足音は、確かに耳に馴染んだ彼のものだ。
ベッドの端が沈む。彼が座ったのか。
「ザクス」
「――?」
懐かしい呼び名。だが彼が何をしているのか、解らない。
「・・・本当に・・・視えていないのか・・・?」
(嗚呼、確かめていたのですね)
苦しそうな声。
ワタシはただ、苦笑する他無かった。
「その様ですネ」
「…そうか…」
「何、泣いてるんデス」
「泣いてない…」
「嘘おっしゃい」
彼の方へ手を伸ばす。が、少しずれたらしい。
耳元を掠めて髪に触れる感触がした。
触れた位置を頼りに、指先でその顔を柔くなぞる様にして彼に触れる。
レイムは黙ったまま目を閉じた。
(耳…頬、…鼻…あ、)
目蓋に触れた。少しだけ下にずらせば
指先に触れる温かい水滴の感触。
「ほら、言った通りデショウ」
「・・・・・・すまない・・・」
「何故謝るんですか」
彼は答えない。
けれどその答えは解りきっている事。
―本当に泣きたいのは、お前のはずだから
優しい彼は、きっとそう思っている。
温かい涙がその証拠。
雫の温もりを感じていた手は、彼の手によって包まれてしまった。
「…ワタシの寿命は、本当に残り少ないという事なのでしょうね」
「ザクス、」
「大丈夫ですヨ。投げやりになった訳じゃありませんカラ」
包む手をそっと外してばさりとシーツを頭から被り直す。
目元は隠し、再びレイムと向いあった。
「訊いてもいいデスカ?」
「…あぁ」
「貴方の瞳は、何色でしたかネェ」
「…は?」
「貴方の髪は、肌は…、身長は…これぐらいでしたっけ」
斜め上に首を上げてみる。
確かこれくらいの所に彼の顔はあったはずだ。
「ザクス」
「教えて下さい、レイムさん。覚えておきたいんですよ」
(ああ、いけませんネ)
喉の奥がひりひりする。
目の奥が熱い。
自分はちゃんと笑えているだろうか。
シーツを寄せる指が震えていた。
「…馬鹿が」
「――ッ」
シーツがむしり取られた。
「泣きたかったら、最初から素直に泣いたらどうだ」
目じりを拭われて、初めて気づいた。
首元に彼が腕を回して抱きしめられる。
その肩からは微かな振動が伝わって来ていた。
「貴方は、少々優し過ぎますヨ。レイムさん」
「うるさい。もう、黙ってろ…」
語尾が小さくなっていく彼の声にこの上ない愛しさを感じながら、
私はその優しい背を抱きしめていた。
きっと、きっと視えなくて悲しいのは今だけ。
だって今ほど、貴方を意識した事は無いのですから。
【Impluse】