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- 2026/01/22(木) 06:59:31|
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*レイムとブレイク
*殆ど会話
もしも同じ年頃だったなら
【 if 】
出会った時は彼等はまだ子どもだった。
自分の腰の辺りまでの背丈で、鬱陶しく思っていたのは否めない。
私が半世紀も前の人間でなかったなら今頃どうしていただろうか。
「しかしそれだと恐らく私達は出会っていない」
友人は書物を棚に戻しながら素っ気無く言う。
「つれないなぁ」
椅子に本来の向きとは逆向きに座りながら彼の背中を眺めた。
「歳が近いのも面白そうだが、出会えないなら今の方が私はいい」
「……」
素っ気無いが、何だかんだで優しい旧友。
「優しいですねレイムさんは」
「そうか?」
「もしもの場合ですヨ。答えて下さい」
「そうは言ってもだな…」
現実主義という訳でもないだろうが、現実的な彼にとっては関心がないらしい。
「今が良ければ、考える必要ないだろう」
ほら、やっぱり彼は優しい。
「見た目だけはそう変わらんだろうしな」
引っ掛かる言い方だ。
「と言うと?」
「思考を若くしたら問題ないと…ぶっ」
手近にあったクッションを振り返ったその顔面に投げつけた。
「思考を…なんですって?」
呻く彼になげかける。
「大事な眼鏡を傷つけられたくなかったら黙りなさい」
「…クッションでは傷はつかん」
「今いい物がなかったんです」
「優しいじゃないか」
微笑んだ顔が憎たらしい。
年下の癖に、出会ったときはあんなに小さかったのに、図体まででかくなって。
「あーやだやだ」
「何だ急に」
「己の爺くささに呆れてんですヨ」
「そうむくれるな」
彼が何かを投げてよこす。キャンディーだった。
「…子どもじゃあるまいし」
「でも好きだろう」
「……」
包み紙を取って飴玉を口へ放り込む。いつの間にか甘い物が好きだと明言した訳でもないのにバレていた。故に開き直る事にしたのも、もう随分昔の事だ。
本当は、
「ワタシと君が同い年だったら…」
「学校では真面目な生徒と問題児の典型コンビだろ」
「お嬢様がリアルに妹とか」
「それは無い」
「どういう意味です…?」
本当はシンクレア家も無事でとか、チェインと契約してなかったとか。
「オズ君は後輩になりますか」
「ギルバート様は我々より学年が一つ下になるのか?」
もっと一緒に過ごせたとか、長生きして家族がいるかもとか。
「彼はどの時代でもオズ君にくっついてそうデス」
「否定できんな。そしてお前という嫌な先輩のカモになっている」
話したら辛くなるのを分かっていて、分かっているからどうでもいい会話をする。それはお互い分かっている事で、切りをつつけないとボロが出るのも知っている。それでも上辺の乾いた笑いが止められない。
「そんな私の天敵はヴィンセントですかねぇ」
「だろうな」
「…今と変わらないじゃないですか」
「そうだな」
「変わることといったら」
一つしかないでしょうに。
「ザクス」
「はい」
「今話した世界へ行きたいか?」
「いいえ、全く」
「…そうか」
安心したような笑顔の意味は何かと、考えるまでもない。
「好きですよ」
「何が?」
「今が」
どれだけ短くても、赤黒い世界であっても。
「そうか」
隣にいる貴方も。
【 if 】END