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- 2026/01/22(木) 07:02:16|
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*レイム×ブレイク
*
花を裏切り縁を結ぶ
【花冷え】
色様々な草花が咲き乱れ始める頃、ふらりとそれはやってくる。
「冷えますネェ」
「春だからな」
空は快晴。
室内から眺める分には外は実に暖かな陽気に満たされている様である。
だが花を揺らす風はさぞや冷たかろう。屋内で寒気がするのがその理由だ。
「…何かおかしくないですカ?」
「この季節は気候が安定しないから道理だという意味だ」
「あぁ…、ナルホド」
しかし毎年こうでは花も難儀なものだと想いながら、山積みの書類に目を戻した。
夕刻。
日が傾きかけた頃に一日の仕事を終える。
「レイムさん」
先行してすたすたと歩く友人を呼び止める。規則正しい靴音がぴたりとやんだ。
「何だ?」
「ちょっと、お茶でもして行きませんか」
彼は少し意外そうな顔をした後、頷いてついて来た。
茜に染まる廊下を二人言葉少なに歩くけば、沈黙も苦痛では無くむしろ空気を
穏やかなものにさせていた。誘う先は自分の部屋である。
他意は無い。何となく、彼と温かい紅茶でも飲みたい気分だったのだ。
淹れたての紅茶の香りと甘い茶菓の間で話題は仕事話から世間話と尽きない。
彼を誘ったのはやはり正解だったと言う事だろう。
「そう言えば今朝の話ですケド、花とは難儀な物だと思いません?」
「何だ、まだ覚えていたのか」
「良いじゃないですか。ねぇ、思いませんか」
「…人から見ればまぁそうだろうが、花は知らない環境とは比較せんからな」
「ふーむ、確かにそうなんですケドね」
彼の性格からすれば予想のつく反応だが、いまいち夢が無い。
そろそろ夕日も沈み、部屋が藍色になりつつある。部屋も冷えて来た。
「寒いデス」
「そうか」
酷い反応だ。この瞬間舞っている花弁はさながら吹雪の氷塊になった事だろう。
「お。見ろ、もう月が出てるぞ」
「へー」
ぐでっとテーブルに突っ伏しお返しとばかりの返事をする。
立ち上がった彼は窓辺に行くかと思いきや、部屋の蝋燭を消して回り始めた。
徐々に徐々に部屋が暗くなる。だがそれにつれ夜空の月は明瞭な姿を現した。
「空気が冷えていると綺麗に見えると言うのは何故だろうな」
「知りませんヨ」
彼は窓の外を興味深げに眺めている。その背に背を向け微量の月明かりを反射して揺れるカップの中身を見つめた。するとその反射がふと無くなる。
「―白いな」
「ッ!」
吐息の触れた項に思わず手をやる。
振り向けば逆光で良く見えないが、困った様に微笑んでいる姿が浮かんだ。
「何してるんですか変態」
「それは、残念だがお前には負ける」
月明かりで青鈍色になった部屋の中で、レイムの冷えた指が首筋を撫でた。
詰めた制服の釦が外されると項に空間が生まれ襟を後ろに引かれる。
開いた空間から覗いた肩口に顔を埋められると肌が泡立つ感覚を覚えた。
「白い、のは・・月の所為では?」
「かもな。だがそれでも白い」
生温かい感触が肌を伝う。濡れた首筋に髪が貼りついた。
そこから熱が広がっていくのを感じる。
視線を月が照らす床へと流し、この先の事を意識すまいと平静を装った。
長年の友人にそれは隠しきれないだろうがその辺は此方のプライドもある。
「レイムさん」
「何だ」
「私達はまだ、『友人』なのでしょうか」
「……」
返事は返って来ない。彼は無言のまま行為を続行した。
上着が床に落ち、後ろから回された手でシャツが広げられていくのを何処か遠くに感じる。
シャツから肩が露出すると、流石に冷えた空気に震えた。
「…男性は、初めてですよ」
「それは、光栄な話だな。当然だが私もだ」
内側のざわめく胸の突起に指が触れ唇を固く閉ざす。
一方の手がズボンのジッパーに触れようとした時、その手を押さえ制止を掛けた。
「…嫌か?」
「イエ、此れでは貴方の顔が…見えないのですよ」
「何だそれは」
そう言いつつ、彼は自分がベッドへ行きたいという事を理解してくれた様だった。
改めて薄暗い天井を仰ぎ見る。
今夜は特に静かな夜だった。
などと悠長に言える状態では無いが、夢の様な現故それも致し方ないだろう。
背中に感じる柔らかな感触に安堵する。
今や彼も上着を脱ぎその息も少し荒い。
だが此方も此方で既に身につける物は白いシャツのみとなっている。
彼に与えられる刺激に僅かな恐怖を感じながらも、身体は素直に悦んだ。
視線の先には片足の膝を立てたその間で彼の頭が小さく上下している。
「…あ、ぁ…ッ」
同性とは言え、柔らかな唇の口淫には太腿が断続的な痙攣を起こした。
聞いた事の無い自分の甘ったるい喘ぎ声に耳を塞ぎたくなるが、唇を噛み締め痛いほどにシーツを握りしめる事で何とかやり過ごした。
唇から解放されると震える足首に手が掛かる。白い脚は肩まで持ち上げられた。
「平気か?」
「…えぇ、」
「力、抜いとけよ」
「ッ!」
暗闇で身体がが弧を描いた。
本来受け入れるべき器官では無い場所に彼自身が押し入り、経験の無い痛みが電流の様に全身を突き抜けた。
上った声は悲鳴に近かっただろう。
緊張した身体の中は彼をきつく締めつけた。若干苦しげな彼の声が耳に届く。
それでも彼は過呼吸気味になった自分を気遣い、他の場所へ愛撫を施し気を紛らわせた。
すると徐々に激痛は快楽へと姿を変え始める。
「ふぁ…、あぁ…ッ」
「ザクス」
「な、です」
「…愛して、いる」
表情は見えない。だが緩く微笑んんだ口元は目にすることが出来た。
熱く火照り汗ばんだ身体が更に温度を高める気がした。
(嫌ですね、少女めいた感情など)
だがここで自分もだと素直に頷いていいものか悩む。
外見こそ大差ないが自分はもう先が短い。今自分が彼を縛っていいのかと。
結局返事は出来なかった。
ただその腕を伸ばし、両手で彼の頬を包む。
驚いた様な顔をした彼を引き寄せ触れ合うだけのキスをする。
今度は切なげに眉を寄せる彼の顔が見えた気がした。
目が覚めるとまだ夜明け前だった。事の後眠ってしまっていたらしい。
月は変わりなく下界の花を照らしていた。その明りで薄っすらと見える落ち行く花が、何とも幻想的で美しい。
隣にいたはずのの彼は暗い部屋の窓辺で、庭の花を眺めていた。
手近にあったシャツを羽織りベッドから足を降ろす。腰の辺りが痛んだが、
構わず彼の許へ歩む。気付いた彼が此方を振り返り微笑んだ。
「今度は月ではなく花ですか?」
「あぁ、綺麗だったんでな」
「私の最期も、こうだといいですねぇ」
穏やかで静かに、彼の居る最期だ。
ついそんな言葉を口にしてしまい後悔する。これでは彼へ負担を掛けるだけだ。
「すみません」
「いや、」
謝罪の言葉に彼は首を横に振った。
だがもう一度窓の外で散る花を見て、彼の頬に雫が伝った。
「…すまん」
「安心なさい。まだ、死にはしませんよ」
先程までの熱はもう身体に残ってはいない。
冷えてしまった今の身体は、ただ胸の辺りだけが焼けつくように熱かった。
【花冷え】