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- 2026/01/22(木) 07:04:09|
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*レイム×ブレイク
*山も無くオチも無く
オジサンは一枚上手
【rest】
国の法に則り、当然私にも休日という物が有る。
働いている私の姿しか想像がつかないだろうがそれでは過労死が必至だ。
だからと言う訳でもないが今は料理なんぞをしようとしている。
「何を作るんデス?」
「シェパーズ・パイだ」
「ほう、イギリス料理ですか」
背後から鬱陶しく首を突き出してくる彼の頭をぐいぐいと押し返した。
料理中は気が散る上に熱くて手が進まない。要するに邪魔なのだ。
羊のひき肉を作り煮込もうと動かす肘が背後の彼に引っかかる。
「良いから下がってろ」
言ったものの、ワザとらしいが肩を竦ませて引き下がるその後ろ姿に溜息をつく。
「…そこの茹でたポテトを潰してくれ」
「―了解です」
「おい待て、皮を剥いてからだ」
「あー、」
皮つきのまま潰す奴があるか。
料理が似合わないとは思っていたがまさかこれ程とは。
何にしても良い年をした男がじれったい動きで皮を剥く姿は可愛くない。
可愛くはないが、危うく口元が緩みそうになり慌てて引き締めた。
何て事だ。自分の動揺に頭が痛い。
「料理は芸術だとか芸術は爆発だなんて言葉があるが基本は押さえてくれ」
「ほう、成程そんな言葉、ガッ…!」
忠告に進んで反抗しようという空気を読み取った私はその鳩尾に一発喰らわせた。
(大して力の無い私の攻撃を何故運動神経のいい彼が避けられないのか不思議だ)
そうして決して順調とは言えない鈍行列車のようなテンポで料理は進行する。
奇跡的に良い具合に焼けたパイをテーブルに並べ、虚しくも男二人でそれを囲む。
「何でしょうねこの新婚的な仕様は」
「…頼むからツッコむな」
不満がある訳ではないが私の面目を保つために言わなければならない。
それに男同士とて友人なら食事をする事だってあるはずだ。
「別に、自然な事でしょうに」
「お前が改めて言うからだろう」
「事実にします?」
「勘弁してくれ」
落ち込んだ顔をするとはどういう事だ。
「男女のような関係はいらない。そもそも子供なんて出来ないし、私はお前の」
「私の?」
サクッと軽い音。彼がナイフでパイを割っていた。
「――友人だ」
「…おやまぁ」
「不満か」
「いいえ?十分ですよ」
そんな穏やかな顔を浮かべられると流石に達観したような、年上だと感じてしまう。
「今、年寄り臭いって言いませんでしたカ?」
「空耳だ。というか何も言って無い」
私もナイフとフォークを手に取りパイを割った。芳ばしい良い香りだ。
しかし肉をフォークに刺し口に運びかけた所でストップ。
彼がにんまりとして同じものを差し出している。無言で見つめて結局無視した。
「素直じゃないですネ」
「空耳か?」
「いいですよもう」
手は引っ込められ、それは口に放り込まれた。
黙々と食べる様は傍から見れば誤解を招くだろうが内心は至って穏やかである。
無意味な会話こそ有意義で面白い。
「ご馳走様でした」
空になった皿を見て、正直食える物が作れて良かったなどと思ってしまった。
取り敢えず『食材』に謝罪する。
安価なワインを開け、また無意味な会話を繰り返し、ふとグラスを傾けるその手を取った。
「何です」
「ここ切れてないか?」
小さいが薬指の側面に薄っすらと赤く細い線が見える。
「皮の時か?」
「皮の時ですね」
今の今まで気付かなかったのだから、痛みは無い様だ。
その指に口を寄せるとクスクスと笑いながら止められた。
「血は出ていませんヨ」
「知ってる」
「まだ昼間ですよ」
「それも知ってる」
「いつならいい?」
「此れを片付けて部屋を掃除して夕食をとってシャワーを浴びて歯を磨いて――」
「分かったもういい」
何でも無い日常でも羅列されると疲れる。手を離して大人しく食器を運んだ。
「全く貴方は分かりやすい」
「お前と違ってな」
日が傾くのもいいが、もう少しこの時間を楽しむのも悪くないかも知れない。
【rest】
さて、次の休日は何をしようか