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- 2026/01/22(木) 08:30:22|
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*ヴィンセント×ギルバート
*
私達は双子ではありません。
けれど、確かに血を分けた兄弟です。
だから、離れたら生きて行けないのです。
【Gemini】
「…ぁ、ぐッ!」
喘ぐ兄の首を絞める。
後ろに反った彼の首に血管が浮き上がり、徐々に白くなる彼の顔。
きつく締まる、彼のナカ。
「気持ちイイの?兄さん」
身体の下で悶える兄を見下ろし嗤う。
もう何度目かも分からない行為で身体もベッドも汗と精液でぐちゃぐちゃだ。
(明日の洗濯は大変かもしれないね)
そんな思考の間にも彼の兄は黒髪と白い顔でオセロの様になっている。
死んでは困るので少しだけ力を緩めてみる。
するとカクンと身体の力が抜け、肺いっぱいに酸素を取り入れようとして喘いだ。
胸の突起を舐めて舌で濡らして白い首筋に歯を立てれば面白い様に兄の身体は悦びに震えた。
『苦痛』は甘い果実だ。
痛くするほど身体は喜びナカを濡らす。
本人の意思など関係無い。
(彼の意思に反してるとも思わないが)
「身体って、素直だよね。兄さん」
「…っ、・・いた、い…」
「そりゃ、痛くしてるんだもの。でも」
「兄さんスキでしょ?こういうの」
横に首を振った彼の鎖骨に噛みついた。
素直じゃないんだから。
薄い皮膚が裂けて真っ赤な液体がつうと流れてシーツに落ちる。
じわっと染みが広がる様は快楽の満ち引きのようだと思った。
再び指先に力を込めてみる。
不意に循環を止められた彼は呻き声だけを漏らして瞳に涙を溜めた。
その姿は酷く官能的で美しく映った。
ヒトの死に際は美しいのかもしれない。
このまま殺してしまおうか?
そんな考えが脳裏を過ぎった。
それは、いい提案かも知れない。
綺麗なまま彼が死んで自分も死んで誰も居ない誰も邪魔しない所で一つでいられたらきっと幸せだ。
でも、
「兄さんは、どうかな・・・・」
何となく、聞きたくない気がした。
キスをして僅かな息をも途絶えさせる。
彼の最奥を突き上げ解放を促した。
律動にスプリングがぎしぎしと鳴く。
「―ッ・・・う、・・・ぁあ”あッ!」
果てる瞬間、遮るものを全て解放する。
悲鳴のような声を上げて彼はベッドに沈み込んだ。
自分も乱れた長い髪を掻きあげ、彼のナカからずるりと自身を取り出しその横に倒れた。
隣に顔を向けると、兄の白くなっていた顔は赤みを取り戻していた。
ただしその眼は閉じたまま開かない。
「死んじゃった?」
無論、意識を飛ばしただけなのは解っている。
自分の戯言にくすくすと笑いながらシーツを被り、緩やかに上下する胸に頬を寄せた。
「おやすみ、ギルバート」
良い夢を。
【Gemini】
*ヴィンセント→ギルバート
*クリスマス
どうかどうか行かないで
他のモノは何一つ望みません
だから、どうかどうか―
【Holy Night】
聖なる『カミサマ』が生まれたこの日。
白い雪が静かに街を侵食しつつあった。
それはとても綺麗だったけど、とても残酷に『僕等』の体温を奪っていく。
「…兄さん」
身体にきつく巻き付けた布を握りしめ隣で寝ていた兄に声をかけた。
静かすぎて不安だった。
「―大丈夫だよヴィンス」
うっすらと目蓋を開き覗いた金色の瞳が優しく微笑んだ。
まだまだ幼い彼が、更に幼い自分の身体を引き寄せ抱きしめる。
薄汚れた路地裏にある唯一の温もりに胸が締め付けられた。
「ごめんね、ギル」
僕の目がこんな色だから、こんな生活を強いられる。
「ねぇギル…どうして僕を置いていかないの?」
幼さ故か。正直に残酷な質問をしてしまう。
それにほんの一瞬だけ、彼の身体が震えた気がした。
「そんな事しない。ヴィンスは僕の、大事な弟だもの」
抱きしめる手に力がこもる。その手は確かに震えていた。
温かくて優しい兄の言葉。
だけど僕は知っている。
彼が何度も僕を置いていこうとした事を。
それで良かった。だってそれが正しい選択だもの。
なのにギルは帰って来た。
寝ている僕の横で、いつも自分自身と葛藤して苦しんでいた。
ギルは僕の光なのに、ギルは僕のせいで汚れていった。
「この雪は僕らを綺麗にしてくれないかな」
「…神様が降りてくる今日なら、出来るかも知れないね」
被る布に、次第に雪が積もり始めていた。
ギルがそれを手に掬いあげて小さな結晶を眺める。
だがそれも束の間。雪は直ぐに水となり指の間を伝って消える。
冷えて赤くなった手に自分の手をのばして包んだ。
はーっと息を吹きかけてその手が温まるようにと祈った。
「ありがとヴィンス」
「だって…ギルが消えちゃう」
雪とは違うけど、きっと僕等も同じように消えてしまうんだと思った。
綺麗になるってそういう事だと分かっていた。
でも、『綺麗に』なって欲しいけどギルは消えて欲しくない。
僕と同じ所に逝ったらまた同じ事になるだろうから。
「…ギル?」
気がつけば彼は再び眠りに就いていた。
連日働き続け、余程疲れていたのだろう。
口元にかざした手に静かな呼吸を感じて安心する。
路地の向こうの大通りは華やかな明りに照らされていた。
過ぎ去る人々の手には大きな袋。
(プレゼント?)
多分、そうだ。
でも自分はそんな物はいらない。
望まないんじゃない。望んでいないかったから。
「僕はギルが居てくれれば・・・それだけで嬉しいもの」
それは彼を苦しめるだろうけど、彼も自分から離れる事が
苦しいのならば。
「一緒にいても、いいのかな」
降り積もる雪がどんどん僕等の空間を埋めていき、世界はどんどん白くなる。
寒いという感覚さえ、どこか遠い存在。
「明日目覚める事が出来たら、ギルの願いをきかせてね」
ギルの身体を引き寄せて二人分の布に一緒に包まった。
冷えた頬に手を添えて、汚れてしまった額にキスを。
「メリークリスマス、ギル」
カミサマどうか、彼に良い夢を。
【Holy Night】
いつものように笑顔を見せる彼に不安が残る。穏やかな顔をして、反面何をしでかすか分からない性格をしているのだ。兄弟といってもそこまで読み取る事が出来ないのは自分が疎いだけなのだろうか。しかし結局その笑顔に押され、仕方なく着替える。自分で言うのは何なので、こう言おう。彼の見立ては間違っていないらしいと。
「うん、よかった。やっぱり似合うって」
「…ありがとう」
こそばゆい感覚に何だか落ち着かない。
所在なくて座ろうとした瞬間、世界は暗転した。
「おぃ…!」
後頭部を抱きかかえられるように倒れた為痛くはないが、ネクタイを思い切り引っ張られたお陰で首筋がひりひりする。抗議の声と共に圧し掛かる人物を見上げると彼はまだ微笑んでいた。他人には温かく見えるその顔も今は何故か薄ら寒い。
「そんな怖がらなくても大丈夫だってば」
首筋をなぞる指がネクタイに止まった。まさかと思い見つめる先でシュルと布の解ける音が鼓膜を打つ。この音には慣れない。自然と身体が緊張してしまう。曝された肌に彼の冷たい手が触れた。
「この音、興奮するの?」
「―ちがっ…ぅ、ん!」
唇が深く重なり呼吸の術を奪われてゆく。
「…ん、……ぁ…ヴィンス…ッ」
自分より幾分小さい身体であっても上に被さった状態では抵抗も意味を成さない。求められるままに肌を晒し、快楽を植え付けられていくのだ。
狭いアパートの天井を見上げながら息次ぐ間もなく意識は溺れて行った。
「…はな?」
詳しく言えば、桜だろうか。霞んだ目の先で窓の外を舞う花を見た。
仰向けになったままぽつりと呟くと、今度は隣で寝ていた弟が目を覚ます。ぼんやりとした目に徐々に光が差し込んだ。彼もまた花を目に留めるが、複雑な表情を浮かべただけだった。
「ギルは…卒業したらここを出る?」
「…いや、まだ決めてないが」
「近くに就職するとも限らないしね」
「出来れば近くにしたいと思ってはいる。そうしたら此処を出なくていい」
「……」
「両親が居ないから、独立してるのと変わりないしな」
「―そう、」
彼は上着を引き上げ顔まで被ってしまった。素っ気無い一言ではあった。しかし最後の一言を口にした時の表情を見ればそれはひっくり返る。嬉しさより、安堵したと言うような穏やかな顔だった。彼は真っ直ぐに自分を求めてくれる。しかし自分はまだそれを倫理的な面において本心から受け入れ切れていない。そのことに後ろめたさを感じた。
手が自然と放られた煙草へと伸びる。
自分も彼も弱い人間だ。弱いから互いに何処かで依存して離れられない。だがこれにもいつか終わりが来るだろう。その時までにまた別の区切りをつけられるようにならねばならないのは確かだ。薄っすらと上がっては消える煙を意味もなく見つめた。
「兄さん、寝よ?」
「あ、あぁ…すまん」
少し驚いた。 いつから此方を見ていたのかと言うのと、少しの罪悪感が内心を埋める。煙草を一ふかしして灰皿へ押し付けた。少しもったいない長さだったかもしれない。
「…本当の卒業は何時になるんだろうな」
【いつか見た春】
それは多分、きっともっと遠い春の話だ。
*オズ×ギルバート前提・ヴィンセント×ギルバート
*暴力表現注意
私が消えていく
【Cave In】
鼻の奥をつく薬品の香り。
明瞭ではない意識と景色の存在しない黒の中で、鴉との契約シーンが回想する。手足は射竦める様な眼と鎖に縛られ動けない。首筋に走るのは肉が抉られ裂かれていく感覚とひんやりとした痛みだ。
「…ッ」
痛みに意識が覚醒するが、視界は開けない。幾分過去の契約した当時と時代が錯誤していた。今は既に主と再会している時であり鴉は出てきてはいないのだ。
ならば痛みの原因は?
「起きた?…あぁ、起きたんだね」
「…ヴィン、ス…?」
直ぐ耳元から聞こえる優しげな声に見えない視界が少しばかり晴れた気がした。
「目隠ししてごめんね。でも取ってあげる訳にはいかないんだ」
優しい声だ。しかしその声には恐怖しか感じない。実の弟なのだ。彼の性格はよく分かっているつもりだった。
「兄さんと最近余り会わないじゃない。寂しくって」
横になった自分の頬を指先がなぞる感触。
ぞわりと肌が粟立つような感覚を覚え震えた。
「兄さんは痛いのが好きでしょう?…でもやっぱり見えると怖いだろうから」
偶に歯医者さんが目隠しをしてくれるのと一緒だよと彼は続けた。彼は自分がいている事を悪い事などとは思っていない。ただ純粋に、優しさと欲を表現しているだけだ。
「首、ちょっと見えちゃうかもだけど、いいよね」
首。そう言われて漸く先ほどの痛みが首を噛まれたのだと思い至った。
(…手、手は)
右手は動いた。左の手は、何処かに繋がれている様だ。動くと何やら冷たく硬いもので手首が絞まり、肉へ食い込む痛みに呻いた。
「利き手が動くのは僕の優しさ…あぁ、動くの『も』か」
至極楽しそうな声が耳に落ちてくる。彼の「楽しいこと」とは恐怖そのものだ。愛しげに頬を撫でていた指が首の傷をなぞりそのまま隙無く着込まれた襟元へ行き、タイを引く。その布擦れする音が妙に大きく聞こえた。
「…な、に……」
「さっき言ったでしょう?『痛いのが好きだよね』って」
「――いッ!」
繋がれた手首を引かれ身体が大きく動いた。肌の表面を削られる痛みに歯を喰いしばる。しかしその唇も直ぐに相手のそれに塞がれ開かざるを得なくなった。
「ふ、…ぁ…や、…ッ」
口内を舌が蹂躙していく。逃れようとも顎を捉まれ手を繋がれた状態ではどうしようもない。せめて自由なほうの手でヴィンセントの身体を押し距離を取ろうと抵抗をした。漸く開放された時には酸素を十分に奪われ顔面が上気した状態だった。
「可愛い、兄さん…」
手を離された身体は床へと押し倒される。固く冷たい床は背に痛みを与え恐怖を煽った。上着を脱がされシャツのボタンが外されていくのが分かった。ひんやりとした空気がむき出しにされた肩を震わせる。
「や…だ、ヴィンス…」
「怖がらないで。…んー、怖がって欲しいのかなぁ」
此方と話しているのか自問しているのか境界があやふやな言葉だった。制止を請うた所で無駄なのはわかっているが、それを意識せず、口に出さずにはいられない。血の繋がった兄弟なのだ。背徳心と、主の顔が脳裏を過ぎった。
「今、何考えてた?」
「……ッ!」
「言い直そうか。誰の事…考えてた?」
耳に吐息が掛かるほど近くで囁かれた言葉。背筋が戦慄するにも関わらず鼓膜に響いた低音に脳が痺れる様だ。その問いに答えられずにいると彼は意に介した様子も無くベルトに手を掛けた。
「なッ…!」
下着ごとズボンが下ろされ思わず身を竦めた。上着は手枷のせいで腕に引っ掛かったままであり、下半身は何も身につけていないという格好に羞恥心で身体が火照りだす。一人暗がりの中で膝を擦り合わせるようにしていると薄い嘲笑が聞こえた。
「恥ずかしいの?大丈夫、直ぐ気にならなくなるよ」
「や、離せ……ッ」
膝を捕まれた途端、反射的に振り上げた手がパンッと渇いた音を鳴らす。微かな低い呻き声にそれが彼に当たったのだと知った。
「……ヴィ、…」
「ホント…可愛いよねギルってば」
口角が引き上がるような声。大きく膝を広げられ彼の目前に性器を晒す。視線を感じ熱を持ち始めるそこから必死に意識を逸らそうと思考をめぐらした。しかし胸の突起に触れられた瞬間、その苦労も泡と化す。
「ん…ッ…」
男の手が胸を這う感触。同時に生暖かい舌が尖りを舐め肌を唾液で濡らしていった。理性が反発をする中で身体の中心は既に熱くなり始めている。身体を引こうとしていた筈が胸を突き出すような体制にすり替わっていた。十分に愛撫をし、胸を離れた手が性器に触れる。そのわずかな刺激にさえ身体は大袈裟なほど大きく跳ね、緩急をつけ上下に擦られると意識が引きずられ始めた。
「ねぇ、目の前でイってみせてよ」
「だ、誰が…ッ」
言葉を遮る様に性器をきつく握りこまれ仰け反る。そのまま先程までとは比べ物にならない強さで愛撫を始め、そこからは次第に卑猥な水音が聞こえ出した。
「く、…あぁ…ぁっ」
視覚を奪われた状態で余計に意識してしまう。口から零れ始めた自らの甘い声に嫌悪しながらも抗え切れなくなりつつあった。力の入らない手で必死に彼の手を掴むと、意外にもそれは叶えられた。
「―い、アァッ!」
一瞬の気が抜けた瞬間、激痛が訪れる。濡れた彼の指先が本来受け入れるべきではない所から胎内へと押し入って来た。肉を無理やり押し広げる痛みが全身を貫き、視界が揺らいだ。
「あれ、本当に指だけでイっちゃった?」
僅かだが自らの腹を汚したそれに霞んだ意識のまま驚愕する。強要されたとはいえ弟の目の前で達したことへの後悔や羞恥の念が押し寄せた。だがその間すら許されず、腹の精液を掬い上げた手が再び下肢の間へと滑り込む。
「まだ、イけるんじゃない…?」
「も、ぅやめッ…ンぅ…ぁ…!」
揶揄するような言葉と共に自らの精液を塗りたくられると、再び中心が熱を持ち始めた。そのまま胎内に指が突き入れられ、乱暴に掻き回される。
「…イッ…あ…ぁ…う、ンッ」
「キツイね、ギルの中。何本挿いってるか分かる?」
「そ、んな…」
「言って」
「…ん、…あぁ…さ、…に…2本…っ」
「そう。正解」
「ひ、…ぐ、ぅ!」
「痛い?でも、好きでしょう?」
泣き声にも近い喘ぎと相対するように心底嬉しそうな声が降ってくる。身体の中の異物に犯されそれを嫌悪しながらも、痛みの中に快楽を見つけ出し始めていた。掴まれた足の間で粘着質な音が鳴り止まない。そうこうしている内に指が引き抜かれ指よりも遥かに熱を帯びた物が濡れそぼった其処に宛がわれた。
「ッひ、ぁ…や…ア”ァッ!」
自分の声とは思えない程の啼き声があがった。ゆっくりと、確実に胎内を圧迫しながら押し入るそれは意識が揺らぐほどの痛みを伴った。もがく足はしっかりと固定され高く掲げられる。より奥へと無遠慮に侵入するそれはきつく締まる胎内に構うことなく最奥へと辿り着く。波打つ痛みと快楽で生理的な涙が零れた。
「泣かないでギル…すぐ良くなるよ」
異物が徐々に動き出す。一度箍(たが)の外れてしまった扉はなかなか閉まらない。唾液に濡れた唇は開いたまま、淫猥な声を発し続けていた。揺さぶられ霞の掛かった思考に主の姿が浮かぶ。今、彼はどうしているのだろうか。今の自分をどう思うだろうか。男に犯され乱れる自分を。
「ふ…ぅ…ぁ…あぁ…オ、ズ――」
―パンッと乾いた破裂音がした。
突然に止まった律動と、身体に降りかかる生暖かい液体。次いで重々しく物が倒れる音と銃を扱う者ならば瞬時に分かる香りに思考は停止し、混乱した。
「あーあ、…つまんないなぁ」
凄みのある声ではない。むしろ通常と変わらぬ声に言い知れぬ寒気を覚えた。荒い息遣いだけが鼓膜を刺激し続けていると、視界が開ける。
「ぁ…」
「おはようギル。どんな夢を見れたのかな…?」
焦点の合い始めた目の前にはにこりと笑う弟がいた。その笑顔に似合わぬ頬についた赤いものは何だろうか。分かっている筈なのに答えが出ない。いや、それ以前にソレは誰のものなのか。
「兄さんが他の男の名前なんて口にするから、彼は死んだんだよ」
言葉とは裏腹に責める様子はなく嬉しそうな、しかし少々残念がるような声で彼は呟いた。「彼」を探し弟の背後を覗き込む。そこには血溜りに身体を沈めた若い男があった。血溜りは未だ広がり続けている。
「―ぁ、…あ…?」
ソレはピクリとも動かない。死んでいる。そうだ、さっき聞こえたのは確かに銃の音だ。黒ずんでよく見えないが頭部の出血が激しい。死因は一目瞭然だった。
「まぁ…他の男を使ってたって言うのでは人のこと言えないけど」
手にしていた銃が血溜りへ投げ捨てられた。揺れる視界の中で黒と赤が同化し、物体の姿は見えなくなった。
「片付けるから、兄さんはもう少し…夢を見るといいよ」
『おやすみ』と口の動きだけで伝えられ、そこで意識は途切れた。
「あ、おはよーギル」
「…ッ!」
目の前に揺れる金髪に思わず銃を取ろうと腰に手を伸ばす。が、そこには何も無く、よく見れば自分がベッドの上にいることに気がついた。
「まーまー、落ち着けって。大丈夫、俺以外居ないよ」
「……オズ…?」
ベッドに肘をつきにこにこと微笑んでいる少年は紛れも無く自分の主だ。見渡した部屋は自分の部屋ではないが、恐らくレインズワース家の一室だろう。あれは夢だったのだろうか。安堵すると同時に、脳裏にその回想が巡り出す。やはりあれが夢だとは思えない。
「夢じゃないよ」
「……ッ!」
思考を読み取ったかのように横から釘を刺したのは他でもないオズだ。先程までとはうって変わり冷水のような温度を感じない瞳が此方を見据えている。彼を慕い順ずるが故に、畏怖を覚えた。
「お前は今此処に居る訳だけど…何処までされたのかな」
何を、とは言わない。それはつまり知っているから。分かっているからだ。袖口から覗いていた手首が彼の手に包まれる。そこには生々しい赤い傷跡があった。
「――オズ…」
傷口に唇が触れ、ピリッと小さな痛みが走った。所作は優しく労わる様だが、彼は機嫌が悪い。他でもない彼のことである。言わずとも彼の纏う空気で知れた。
「お前は俺のものだよ。…ね、俺が今どうしたいか分かる?」
彼の冷たい指先が唇に触れる。悪戯を思いついた子供のような瞳が、視界いっぱいに広がった。
怯えた心の奥底で、恍惚を覚える自分を見た気がした。
【Cave In】