[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
- 2026/01/22(木) 07:09:23|
- |
- トラックバック(-) |
- コメント(-)
| 12 | 2026/01 | 02 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | ||||
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
| 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
| 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
*ヴィンセント→ギルバート
*クリスマス
どうかどうか行かないで
他のモノは何一つ望みません
だから、どうかどうか―
【Holy Night】
聖なる『カミサマ』が生まれたこの日。
白い雪が静かに街を侵食しつつあった。
それはとても綺麗だったけど、とても残酷に『僕等』の体温を奪っていく。
「…兄さん」
身体にきつく巻き付けた布を握りしめ隣で寝ていた兄に声をかけた。
静かすぎて不安だった。
「―大丈夫だよヴィンス」
うっすらと目蓋を開き覗いた金色の瞳が優しく微笑んだ。
まだまだ幼い彼が、更に幼い自分の身体を引き寄せ抱きしめる。
薄汚れた路地裏にある唯一の温もりに胸が締め付けられた。
「ごめんね、ギル」
僕の目がこんな色だから、こんな生活を強いられる。
「ねぇギル…どうして僕を置いていかないの?」
幼さ故か。正直に残酷な質問をしてしまう。
それにほんの一瞬だけ、彼の身体が震えた気がした。
「そんな事しない。ヴィンスは僕の、大事な弟だもの」
抱きしめる手に力がこもる。その手は確かに震えていた。
温かくて優しい兄の言葉。
だけど僕は知っている。
彼が何度も僕を置いていこうとした事を。
それで良かった。だってそれが正しい選択だもの。
なのにギルは帰って来た。
寝ている僕の横で、いつも自分自身と葛藤して苦しんでいた。
ギルは僕の光なのに、ギルは僕のせいで汚れていった。
「この雪は僕らを綺麗にしてくれないかな」
「…神様が降りてくる今日なら、出来るかも知れないね」
被る布に、次第に雪が積もり始めていた。
ギルがそれを手に掬いあげて小さな結晶を眺める。
だがそれも束の間。雪は直ぐに水となり指の間を伝って消える。
冷えて赤くなった手に自分の手をのばして包んだ。
はーっと息を吹きかけてその手が温まるようにと祈った。
「ありがとヴィンス」
「だって…ギルが消えちゃう」
雪とは違うけど、きっと僕等も同じように消えてしまうんだと思った。
綺麗になるってそういう事だと分かっていた。
でも、『綺麗に』なって欲しいけどギルは消えて欲しくない。
僕と同じ所に逝ったらまた同じ事になるだろうから。
「…ギル?」
気がつけば彼は再び眠りに就いていた。
連日働き続け、余程疲れていたのだろう。
口元にかざした手に静かな呼吸を感じて安心する。
路地の向こうの大通りは華やかな明りに照らされていた。
過ぎ去る人々の手には大きな袋。
(プレゼント?)
多分、そうだ。
でも自分はそんな物はいらない。
望まないんじゃない。望んでいないかったから。
「僕はギルが居てくれれば・・・それだけで嬉しいもの」
それは彼を苦しめるだろうけど、彼も自分から離れる事が
苦しいのならば。
「一緒にいても、いいのかな」
降り積もる雪がどんどん僕等の空間を埋めていき、世界はどんどん白くなる。
寒いという感覚さえ、どこか遠い存在。
「明日目覚める事が出来たら、ギルの願いをきかせてね」
ギルの身体を引き寄せて二人分の布に一緒に包まった。
冷えた頬に手を添えて、汚れてしまった額にキスを。
「メリークリスマス、ギル」
カミサマどうか、彼に良い夢を。
【Holy Night】