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- 2026/01/22(木) 07:10:09|
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*レイム×ブレイク
*
基本的に眺める景色は職場である事務室やら資料室の窓である。
そして現在は自分の執務室。
今はもう夕時であり本日の仕事は大方片付いた。
今日は来客の予定がある。
客とは言っても古い友人であってもてなす等という気は更々無いが、心待ちにしていないと言えば嘘になる。
残り僅かな雑務を机上でこなしていると、少々早いが件の客が来た。
「いやぁ、お疲れ様デスレイムさん。相変わらず過労路線ですカ?」
「その通りだザークシーズ。気遣い痛み入るよ」
「それほどでも」
本日何度目かのため息が出た。
相変わらず休息はないようだ。頑張れよ私の気管。
「何をブツブツ言っているんです」
「何も、こっちの話だ」
彼が私の机の元までやってきて持ってきた数枚の書類を机上に出した。
一変してその表情は固い。
「今回はこれだけです。最近は情報の出所も羽振りが悪くていけない」
苦虫を噛み潰したような顔で眉間に皺を寄せ、皮肉気に笑った。
こうして彼と二人、互いの主に無断の上独断で調査を始めてもう久しい。
当初は彼の過去に起因したこの『調べ物』は時を経て随分と規模を拡大していた。
気がつけば10年余り。
彼は青年の姿のまま変わらないが自分は当時から言うと大分成長した。
慎重が著しく伸び、いつの間にか彼の身長を超した。
変わったのは勿論外見だけではないのだが。
「我慢しろ。こういったものは時間が経つほど見つけにくい」
「そりゃそうですけど」
それでも釈然としない顔をしながら彼は部屋の椅子に沈み込む。
お前は子供か。
「今日は?もう他に予定は無いのか」
「えぇ。今日は君に会う日です」
それが誘い文句だという事は私にも理解できた。
意味深に目を細める彼の視線を受けるが、そこに向かって紙面をひらひらと振った。
「後少しなんだ」
「あー、ハイハイ」
両手の平を上げると、彼はまた椅子へ戻り目を閉じた。
此方とて早く終わらせたいのだから仕方ない。
カリカリとペンを走らせ、残り数枚の書類を処理し終えるとこの日初めて安堵の息が漏れた。
「お疲れ様です」
「全くだ」
何気なく返事を返すと、途端に視界が悪くなる。
顔を上げると眼鏡を持った彼が目の前で笑っていた。
「オヤ、眼鏡を取ると案外男前ですヨ」
「案外ってなんだ。案外って」
決していい顔ではない事は自覚しているがお世辞にしても一言余計だろう。
「おいザクス、返せ」
眼鏡を持つ腕を引くと、そのまま顔が接近する。
軽く唇が触れ合いゆっくりと離れていった。
「返さなくてはいけませんか?」
「当然だ。色々困るからな」
「色々、ですか。仕方ないですね」
カチという音がして眼鏡を掛けなおされた。
肌に触れた、そのひんやりとした指を取って立ち上がる。
彼は引かれた手を離れ机にもたれかかり私を正面に見据えた。
その目線より幾分も低い体を囲むようにして両脇に手を置いた。
「体力の心配は…まぁ無いよな」
「ちょっと、その間はどういう意味ですか」
「大して働いてないだろう」
「それを言うなら体調の心配でしょう。見えない所で働いてんです」
むくれてしまった。
それはそうかも知れないが少しは見せてくれないと測りようが無いのが現実だ。
此方の推測は五分五分という所だろう。
と、納得しかけたところで路線を外れている事に気がついた。
目の前の自分より遥かに年長の、それでいて同年の外見をした友人を見やる。
彼の一つしかない紅い目が私を見ていた。
一つ、大きな鼓動が鳴った。
無機質な瞳が此方を見ている。
彼の襟元に伸びる手を視線が追っていた。
襟から制服のスカーフを抜き取り、釦をハズス度徐々に露出される白い肌。
静かな緊張感がじわりと欲を煽っていく気がした。
「…ザクス、五月蝿い」
「何も言ってませんよ」
「視線だ。視線が五月蝿い」
「おやおや、空気を読みなさいよ若者」
「うるさい」
再びの沈黙。
手の動きはそのままに晒された首筋に口を寄せて舌を這わせる。
余裕を見せていた身体が一瞬で緊張した。
「まだ、ここ弱いのか」
首筋から耳の後ろにかけて、僅かな刺激で敏感に反応した。
「立てなくなったら座っても構わんが」
「これ位で其処まで行きませんから」
「意地が悪いぞ年寄り」
呟くとゴスと拳が頭上に見舞われた。
「こら、実年齢をチラつかせるんじゃありません」
「いいだろう別に…女性じゃあるまいし」
至極どうでもいい会話を挟みながら、ゆっくりと下り舌が胸の尖りを掠める。
頭上の手が短い髪を掴むように強く押し付けられるのを感じた。
制服と更に下のシャツから晒された肌は熱く、ほんのりと赤い。
元々色が白いから彼がどれだけ悦んでいるのか測るのは容易だった。
這わせた舌で唾液に濡れた肌が艶かしく光に反射する。
身体を這う手は彼の下肢へと伸びて触れると膝が揺れ、重心が大きく机に掛り始めた。
それに構わず降ろしたジッパーの音が妙に大きく耳に残り、外気に露出させた彼のモノが熱く脈打った。
「――ッ!」
息を呑む音がする。
形をなぞる様に舌を上下させ、その先で細かい動きを繰り返す。
唇でわざと音をたてて吸い上げれば口の中に苦い味が広がった。
次第に布はずり下がり剥き出しになった細い足に手を掛けた。
口内の彼自身は粘着質な液体を先走り始め、頭部を押さえる手の力が一瞬強くなる。
が、直ぐにその負担は軽くなり彼はそのままがくりと前傾してしまった。
抱きかかえられた耳元で熱い吐息が耳にかかる。
「辛いならイっていいぞ」
「そこ、で…喋らな…!」
彼に抱かれた肩に痛みが走る。
途端にどぷりと口内に熱い液体が吐き出された。
「は、あ…ぁ!」
口の中の物を全て飲み干し、崩れかけた身体を支え机の上へ座らせた。
左足を机上に上げさせると羞恥を煽るその姿勢に彼は黙って目を背ける。
その濡れた唇に指を当てればそこは温かい感触に包まれた。
日が暮れかけた時間。部屋は朱色に染められていた。
まだまだ事に及ぶには早い時間、窓から射すその光を背に指を舐める唇が背徳的に艶めく。
十分に濡らされた指を、彼の下肢の間へと滑り込ませた。
「……っう、」
彼曰く、この感覚は中々慣れるものではないらしい。
圧迫感を与えながら指は容易に身体の胎へと飲み込まれた。
「あと、少しだけ耐えてくれ」
暫く解した後指を2本、3本と増やした。
粘つく音と共にそれも簡単に飲み込まれ、指先をまげて後膣の中をかき乱す。
彼の喉がひゅっと鳴った。
「…あ、…ぁっ」
閉じようと動く膝を押さえて丁寧に解す。
なにせ久方ぶりだ。無理に挿れて怪我をさせたくはない。
もういいかと思った所で指を抜く。
「平気か?」
「聞くんじゃ、ありませんよそんな事…」
汗の滲んだ顔でにやりと笑う彼を見て此方も口元は緩んだ。
反応を示す自身を取り出し濡れそぼった其処へと宛がえば、彼の腕が首に絡む。
「力、抜けよ」
「どっちが年上だと―ッ!」
指とは比較にならない質量ので彼の身体を貫いた。
まだ数えるほどもない回数でしか行為はしていない為、内壁の締め付けの強さに思わず呻く。
紛らわそうと身を乗り出し唇を深く重ねた。
「ふ、ぅ……ッあ、あぁ」
唇を舐め、口内に舌を入れて互いのそれを絡めあった。
歯列をなぞり啄ばみする内に徐々に酸素が失われて行く。
薄く目を開くと彼の唇の端から一筋唾液が伝って行くのが、見えた。
僅かに締め付けが緩むと様子を見ながらゆっくりと律動を開始していく。
密着した身体の温度が上昇を始めるのを感じ、額を汗が流れるのがわかった。
奥へ奥へと突き立てる内に、彼の腕が強く背中に縋っていた。
「…どうした?」
わざとらし過ぎたか、軽く睨まれる。しかし溶けきった視線に普段の鋭さは微塵も無い。
半端な刺激ではお互い辛く、良いところに当てようと速度を上げて再び奥を突いた。
「ひッ!あ、あ、あぁぁ!」
途端、せきを切ったように彼の口からは意味を成さない音が溢れ出す。
背中に食い込む爪の痛みさえ互いの繋がりを意識させる材料にしかならず、その意識が身体の熱を高めて行った。
力が入り緊張した彼の身体は爪先までピンと伸ばされ太ももは細かい痙攣を始めた。
「あつ、い…」
煽られながら僅かに恐怖心さえもたらす快楽の波。
抗う術もなく、ただただ流され昇り詰めて行った。
(汗が)
顔を伝い腕を伝い足を伝い、肌の上を伝い落ちていく。
スローモーションのような感覚でその光景を眺めていた時一層強く縋る腕があった。
「あ…イ、く…ンッあぁあ!!」
視界が大きくぶれた。
彼のナカに自分のモノが、自分の腹に彼のモノが吐き出される。
強くしなった身体を抱きとめて過呼吸気味になったその唇を塞いだ。
「ふ、あ…ぁ…うッつ」
「ッ!」
一瞬、彼の目が合った時瞬時に眼鏡をもぎ取られてしまう。
喉元まで出かけた抗議の言葉は、しかし直ぐにその場で消えた。
口を押さえた彼が咳き込んでいた。
「おい、どうし――」
指先がその髪に触れようという瞬間、そこから彼の顔は消え肩に強く重みがかかった。
「見るんじゃ…ありませんヨ、萎えま、すから」
「何を言って」
「いいから」
有無を言わさぬ物言いにそれ以上の追及は叶わなかった。
耳には途切れ途切れの呼吸音が雑音のように届いていた。
僅かな鉄臭が鼻腔をつき眉を潜ひそめる。
「そのまま、目を閉じて」
小刻みに揺れる指が目蓋に触れ、そっと私の光を遮断する。
手の平に折り畳まれた眼鏡を握らされ、重い布擦れの音と共に目の前の体温は離れていった。
「ザクス」
「心配は要りませんよ」
「お前はまた、」
「良いと言ったら目を開けてください」
離れる足音。
「どうぞ」という遠くの声を聞き届け目を開くと、丁度彼の出て行った扉が閉じられた。
目を開き手渡された眼鏡を掛けなおす。目の前には誰も居ない。
床に散った書類が彼が居たことを唯一実感として証明していると思った。
ただ一枚だけ様子が違うのを除けば。
「これは…」
握りつぶされた一枚の羊皮紙。
不信に思い広げてみると赤黒いインクを擦り付けたような跡が広がっていた。
濃淡が妙に生々しい。
心配事だけを置いていって何が心配要らないというのか。
身なりを整え、くしゃくしゃになっていた紙を丁寧に折り畳む。
それを胸ポケットに仕舞うと一度だけ通常に戻った机を振り返り部屋を後にした。
紙面に広がる赤は、さながら彼岸花のようであった。
【彼岸花】